2018年5月29日のDoodle(googleトップ画面にあるアレンジした1日限りのロゴ)は「ソレン ソーレンセンを称えて」というロゴでした。どうもSøren SørensenがpHの概念を論文で発表したのが1909年のこの日だったんだそうです。
pHが小さいほどGOOGLEの文字の上の水素イオンの数が多いです。
水素イオン濃度をあらわす pH。
pHは、日本でも販売されているデンマークのビール「カールスバーグ」の研究所で化学部門の部長をしていたソレン・ソーレンセンSøren Sørensen (1868-1939)によって1909年に提唱されました。
今でこそpHと表記されていますが、最初の10年はph、pH,Ph,PH,Ph、P,Ph+、PH+といろいろな書き方がありましたが、The Journal of Biological Chemistryの編集者がpHを使いだすことによって、統一されていきました。上付き、下付き文字のないpHならタイプするのも簡単ですしね。
そして、小文字のpは酸解離定数pKaなど、 -log10 という意味になっています。
では、pHのpは何のpなのでしょう?
すぐに思いつくのは、”power of hydrogen”、つまりPowerでしょう。p=powerとしてる文献もあります。
また、カールスブルクのサイトでは
Why is it written pH? pH is short for “potential Hydrogen”.
とpotential と説明しています。
ただ、1909年に発表された時の論文が、ドイツ語、フランス語、デンマーク語の3か国語で英語では発表されていないというところから、この説を支持しない考えもあります。カールスブルグ研究所での公用語のフランス語で exposant(指数)、またはpuissance(power)、さらにはラテン語で pondus (quantity), potentia (capacity), はたまた 英語のpotential 等と候補が上がっています。
さらに全く別の発想で、Søren Sørensen が数学ではペアの文字として使うp、qの記号を2種類の水溶液に使っていたのに由来するという説まであります。この説ではq溶液は濃度既知の参照溶液であり、未知の水素イオン濃度を含む溶液をp溶液としています。
いずれにしろ、Sørensenがなぜpを使ったのか説明してないので、私たちに知る由はありません。。。
Check it out!
今日の参考文献は、ガチな英語の論文です。大学図書館とかの力を借りないと無料ではたぶん閲覧できないかと。
Rollie J. Myers ”One-Hundred Years of pH” J. Chem. Educ., 2010, 87 (1), pp 30–32
Ferenc Szabadvary and Ralph E. Oespertrans.”Development of the pH concept: A historical survey”. J. Chem. Educ., 1964, 41 (2), p 105
G. Norby, The origin and the meaning of the little p in pH, Trends in Biochemical Sciences,2000, 25,pp. 36-37
William B. Jensen “The Symbol for pH”J. Chem. Educ., 2004, 81 (1), p 21
これは論文ではありませんが、英語です。
pH Definition
そしてドイツ語…そう、Søren Sørensenの当該論文です。
Søren Peter Lauritz Sørensen : Über die Messung und die Bedeutung der Wasserstoffionenkonzentration bei enzymatischen Prozessen
その英訳版。飯野佳代、と思ったけど100年以上たってるから著作権は切れてるのか…。ちなみにPH表記でした。。。
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