1019 【遺伝の規則性と遺伝子2】メンデルの実験・分離の法則と顕性の法則

 前回のような、子では消えた形質が孫で復活したという形質の伝わり方を説明するために、メンデルは細胞の中に「形質の素になるもの」、今日でいう遺伝子が存在すると仮定しました。
 ちなみに、その遺伝子というやつは細胞の核の中にある染色体に存在します。
 当時のメンデルの説明では「遺伝子」という言葉はなく、「形質の素になるもの」みたいな説明になったはずですが、わかりづらいのでここからは遺伝子という言葉で説明します。

 で、メンデルは「丸い種子を作る遺伝子」と「しわの種子を作る遺伝子」があると考えたのですが、染色体が対になっているので、1本1本の染色体に乗っかっている遺伝子も対になっているはずです。この仮定、はじめて前回のような一見わけわからない実験結果が説明できるのです。

 それでは、「丸い種子を作る遺伝子」をA、「しわの種子を作る遺伝子」をaで表して考えてみましょう。

減数分裂と分離の法則

 遺伝子は対、2個ペアになっているわけですから、何代にもわたり丸い種子しかできない純系の丸い種子ができるエンドウのもつ遺伝子は丸い種子を作る遺伝子Aが対になっています。これをAAと表します。同様に純系のしわの種子ができるエンドウのもつ遺伝子はaaと表します。

 そして、生殖細胞を作るときに行う減数分裂では親から対の染色体が、2つの生殖細胞に分かれてしまいます。

正確には減数分裂の場合、連続して2回の分裂が起こる。その結果4つの娘細胞ができますが、下の画像のように黒黒白白となるので、中学校レベルでは黒白が1つずつと簡略化して説明します。

1対の遺伝子は、分離して別々の生殖細胞に入る、これが分離の法則です。

顕性の法則

 では、丸い種子、しわの種子のエンドウで、染色体にのっている遺伝子は生殖細胞にどう伝わるというと

丸い種子では親のもつ遺伝子AAのうち、片方にはA、もう片方にはAと、どちらにしろAの遺伝子が入ります。同様にしわの種子では親のもつ遺伝子はaaですが、生殖細胞にはaの遺伝子が入ることになります。

 では、受精により、丸い種子からの生殖細胞の遺伝子Aとしわの種子からの生殖細胞の遺伝子aが合体してできた子の遺伝子はというと、Aaということになります。
 そうすると、一つの疑問が生じます。対立形質である「丸い種子を作る遺伝子」と「しわの種子を作る遺伝子」が一つずつある組み合わせでは、種子の形はどうなるのだろうか。

 答えは、前回の実験結果の通り、すべて丸くなりました。何で?と言いたいところですが、実際にそうなったんだから仕方がない。
 AAだけでなく、Aaでも丸い種子になるのです。

 対立形質をもつ純系どうしから生まれた雑種第1代では、対立形質のうち一方の形質(顕性)だけが現れ、もう一方の形質(潜性)は現れない。これが顕性の法則です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました