消毒用アルコールが話題になっていますが、エタノールもメタノールもすでに記事にしたので、同じ有機溶媒つながりで今日はアセトンについて取り上げたいと思います。
アセトン Acetone CAS: 67-64-1 CH3COCH3 58.08
多い別名
アセトンには以下の別名があります(多い…)
プロパン-2-オン [IUPAC命名法]
プロパノン
2-プロパノン
2-オキソプロパン
β-ケトプロパン
ジメチルケトン
ジメチルホルムアルデヒド
ピロアセチックエーテル
物理的・化学的性質
無色の液体ですが特有の臭い(ケトン臭)があります。
水、エタノール及びジエチルエーテルに極めて溶けやすい(混ざりやすい)です。
沸点 : 56.13℃ 融点 : -94.7℃ 引火点 : -18℃
自然発火温度を各社のアセトンのSDSを比べてみましたが、5(大まかに3)種類の数値があります。おそらくどの資料をもとにしたかの違いでしょうが、溶媒としてはメジャーなアセトンですら自然発火温度のような消防上大切なデータに100℃もの幅があるのか…とちょっと意外でした。もっとも、465℃でも561℃でも、その扱いや管理に差が出るわけではないですけどね。
465℃(国産化学、昭和化学、キシダ化学、純正化学、大商化成、米山薬品工業、ナカライテスク、東京化成工業)
538℃(和光純薬工業)
540℃(職場のあんぜんサイト、三協化学)
560℃(三協化学、京葉ケミカル株式会社)
561℃(関東化学、林純薬工業)
※日本試薬協会のSDS検索、便利です!。
中学校の理科では
液体のエタノールをビニール袋に入れて、熱湯をかけるとふくらみ、氷水をかけるとしぼむ、という実験がありますが、エタノールの代わりにアセトンを使うと、沸点が低い(56.5℃、ちなみにエタノールは78℃)ので早く(あるいは多少お湯が冷めていても)変化がわかりやすくみられます。
危険有害性
とはいえ、一般的には中学校でこの実験に使うのはエタノールでしょう。
だってアセトンは毒劇には指定されていませんが(人間の体内でも存在する物質ですし)、におい嗅ぐと、エタノールとはまた違った「あ、これたくさん吸っちゃダメなやつだ(具合が悪くなりそう)」と本能的に感じさせるにおいがあります。実際、目や呼吸器、中枢神経、そしてお腹の赤ちゃんなどによろしくないとされています。
例:マニキュア除光液による中毒
なので、アセトンを使うときは換気しましょう。アセトンを使うときは換気しましょう。大事なことなので二度言いましたよ。
また、アセトンは危険物第4類引火性液体、第一石油類水溶性液体に分類されています。もっとも、エタノールも危険物第4類アルコール類なので、どちらも火気には気をつけなくてはいけません。また、アセトンやエタノールのSDSのの「安定性及び反応性」のところをみると、エタノールは、「法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる。」と無難に書かれているのに対し、アセトンは「日光や空気にさらされると過酸化物質を生成し爆発性となる。」など、穏やかでないコメントがあります。
多岐にわたる用途
それでも用途は多く、塗料、接着剤、化粧品等、溶剤などがありますが、
マニアックな用法としては、大学時代、化学実験でビーカーやピペットを洗浄したあと、洗瓶に入った精製水をかけて、さらに洗瓶に入ったアセトンをかけて、ドライヤーで乾かしてビーカーの口やピペットの先端にろ紙で埃が入らないようにして終了、なんてのがありました。
それからビーカーなどガラスに油性マジックで書いたものを消すときには、アセトンを含ませたキムワイプ。これ。で、ホワイトボードで専用のマーカーでなく普通の油性マジックで書いてしまったのを消すとき。これ最強。しかしこれを使うとホワイトボード自体を傷めてしまう危険も伴う、諸刃の剣。素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、においが強く、揮発性が高いので換気しなさいってこった。
※プロの方は言われなくても換気どころか局排とか防毒マスクとか使ってると思う。
アセトンについて|洗浄・溶解・接着等 お役立ち便覧(三協化学株式会社)
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