1134【運動の規則性6】力と運動(3) 物体に力が働く運動(斜面を下る運動②)

斜面を下る運動がえらく長くなったので一回切って続きです。

今度は、斜面の角度を変えて転がしてみるとどうなるか。

まず、前回の復習から。
斜面を降りる台車の運動は、一定の速さの変化の下、速くなっていきます。
これは台車に一定の大きさの力が働き続けるからです。
一定の力が働くと、一定の速さの変化がおきるのです。

では、斜面の角度が大きくなると、台車にかかる力はどうなるか。
力の分解のところでやりましたが、重力の斜面の水平方向の力に相当する部分で、大きくなりますね。

物体に大きな力が働くと、物体の速さの変化は…?
もう想像がつくかと思います。速さの変化が大きくなるのですね。

んじゃ、ちょっとクイズ。AさんとBさんがそれぞれ斜面の実験をしてテープを同じように例のやり方で処理したんだけれども、2人の結果はこうでした。

さて、斜面の角度が大きかったのはAさんとBさんの実験でどっちかな?
これ、あるテストで出したら案外正解率が悪かった。

解説いきます。
パッと見てテープの長さはAさんの方が長い。つまりAさんの台車の方が速いことがわかります。
だからAさんの方が斜面の角度が大きかった、かというとさにあらず。
注目するのは「速さ」ではなく「速さの差」、この違い、わかりますか?
テープを並べたものに、グラフのように線を引いてみましょう。

この線の傾きが「速さの差」なのです。AさんとBさん、どちらが傾きが大きい、つまり急ですか?
そう。Bさんなのです。
Aさんのテープが長い、つまり速いのは、動き始めてからここに貼ったテープまでの時間が長かったわけですね。それに対してBさんは動き始めてから比較的短時間のところからテープを切って貼ったわけです。


さて、ここまでまとめてみると、水平面上を運動する物体の運動をv-tグラフで表わすと、速さは一定ということでグラフは水平になります。そして斜面を下る物体の運動をv-tグラフで表わすと、速さは一定のわりあいで増えるということで、ちょうど斜面のようなグラフになります。そして、斜面の傾きが大きいと、v-tグラフの傾きも大きくなる。なんか、運動する面とグラフの傾きが似ていますね。

では、今度は斜面の角度をもっと大きくしていきましょう。
10度、20度、30度!もっともっと大きくして、究極は90度。
90度の斜面って…もはや普通に落下するので斜面がいりませんね。
そう、これが自由落下なのです。物体にかかる力として、重力がそのまま使えるところもポイントです。

ただしv-tグラフにしたときさすがにグラフの傾きは90度にはなりません…。


そして最後にまた、移動距離sと時間tの関係。
ここでは、話を簡単にするため、 t =0 のとき、v=0 、つまり0秒の時に動き始めるものとします。

等速直線運動の時に、v-tグラフの面積が距離になる、というはなしがありましたので、これをまた使います。

速さ v は時間 t に比例しますから、比例定数(加速度)を a として、v=at と表すことができます。
v-tグラフの面積とは、こんどは三角形になります。底辺は時間 高さは速さ ですが、 v=at なので at とします。すると三角形の面積sは
s = 1/2 × t × at
  = 1/2 at 
と、時間 t の2乗に比例するのです。なので詳しくは高校で。

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