1130 つり合いの2力と作用・反作用
「つり合い」の2力と「作用・反作用」の2力の関係は、いずれも次のような特徴があります。
1.大きさは同じ
2.向きは逆
3.同一直線上にある
そこは強調されるのですが、両者の違いについての説明が不明確なことが多いです。
では、その違いとは何か?
その前に、お約束ですが、一つ当たり前のことを確認しましょう。
一つの力がはたらくには、力を出している物体と、力を受けている物体の2つがある。
ということです。
ちょうど「好き!」という気持ちが存在するためには、「好き!」と思う人と、「好き!」と思われる対象の2人がいるようなものです。
そしてこの2つの物体は必ず別の物体です。
つまり、自分で自分を「好き!」というナルちゃんは考えません。
つり合いの2力というのは、こういうケースです。
白組と紅組が綱引きをしていますが、力が釣り合っているので、肝心の綱は動きません。
釣り合っている2力は
・白組が綱を引く力
・紅組が綱を引く力
です。これが同じ大きさ、逆向き、一直線上にあるのでつり合っているわけです。
ここで注目しておきたいのは、2つの力がどちらも同じ綱に働いているという点。
先ほどの「好き!」の例えでいえば、
・白組「綱ちゃん!好きだ!」
・紅組「好きだ!綱!」
・綱「いや~ん、こまっちゃう(はぁと)」
というモテモテの状態です。
これに対し、作用・反作用は
・白組が綱を引く力
・綱が白組を引く力
の2力の組み合わせと
・紅組が綱を引く力
・綱が紅組を引く力
の2力の組み合わせです。
作用と反作用は力を出している物体と、力を受けている物体が逆になっているのです。すると、作用と反作用はちがう物体にはたらいていることになります。
先ほどの「好き!」の例えでいえば、
・白組「綱ちゃん!好きだ!」
・綱「白組くん!私もあなたのこと好きよ!」
というラブラブの状態です。もちろん同時に
・紅組「好きだ!綱!」
・綱「私も好きよ!紅組君!」
という状態も存在します。
では、ありがちな練習問題。
次の天井からおもりがぶら下がっている図中の力 ア~カでつり合いの2力、作用・反作用の2力はどれか。
アは天井が糸を引く力
イは糸が天井を引く力
ウは糸がおもりを引く力
エはおもりが糸を引く力
オはおもりの重力、すなわち、地球がおもりを引く力
カはおもりが地球を引く力
…とこれがかければ後は文法問題みたいなものです。
作用・反作用の力
「AがBを」と「BがAを」の関係の2力、
つまり、
天井・糸間の アとイ
糸・おもり間の ウとエ
おもり・地球間の オとカ
の3組になります。
つり合いの力
「AがCを」と「BがCを」の関係の2力です。
つまり
C=糸 としたときは アとエ
C=おもり としたときは ウとオ
の2力になります。
ちなみに、作用・反作用は必ずペアになっている、相手となる力があるはずですが、「つりあい」は綱引きの例でいえば、いつも引き分けでなくどちらかの力が強くて綱が動いて勝負がつくこともあるように、いつも起こるわけではありません。ここも「つり合い」の2力と「作用・反作用」の2力の違いです。
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