合成に続いて分解です。
合成は、足し算というのは前回の記事をご覧になった方はお分かりいただけたかと思います。
4+3=( )
みたいなもので、答えは一つに決まります。
ところが分解はそうはいきません。いうならば、
7=( )+( )
みたいなもので、4+3もあれば2+5もありますし、7+0 も 10+(-3) だって 2.5+4.5 も正解です。
力の分解も同じです。単に一つの力を2つに分解しましょう、といっても、分解の仕方は無数にあります。なので、どう分解するかということが明示または黙示で示されることが普通です。
力の分解で最もよくあるシチュエーションです。斜面に物体があります。この物体にも、地球上である以上、重力がかかります。
重力の向きは、斜面だろうが何だろうが、下向き。鉛直下向き、地球の中心のある方向に向いています。
この重力を分解してみましょう。
といっても先ほどありましたように、分解の仕方は無数にあります。どう分解すればよいのでしょうか。
ここでは、斜面に対して水平な方向と垂直な方向に分けてみます。それぞれの方向の破線を図にかきくわえました。
力の分解の作図は、力の合成と逆です。すなわち、重力が対角線になるように、2つの破線方向に平行四辺形の2辺を作るのです。この2辺こそが、重力を2つに分解した力、「分力」なのです。
ちなみに、橙色の矢印で示した、「斜面に垂直方向の分力」に対抗するように、斜面からの垂直抗力(緑の矢印)が生じ、その力とつり合います。
したがって、斜面においてある物体にかかる力は、重力と垂直抗力の2力で、その合力が「斜面に水平な方向の分力」となります。その力こそが斜面を運動する物体の運動の様子を変える力となるのですが、その話は、斜面の運動のところでも話題にします。
で、これ、重力の大きさは変えず、斜面の角度だけを変えると分力はどうなるでしょうか。
斜面の角度をこれまでの15度から一気に60度に変えてみましょう。
「斜面に水平な方向の分力」がかなり大きくなったことがお分かりいただけるでしょうか。
斜面の角度をを大きくすると、物体にはたらく力(=斜面に水平な方向の分力)が大きくなるがのですね。
ちなみに「斜面に垂直な方向の分力」は小さくなりますが、それに伴い垂直抗力も小さくなり、常にこの2つの力はつり合うようになっているので、こちらはあんまり気にしなくて結構です。
そして、この3つの力のの矢印でできる三角形は、斜面の三角形と相似形です。
そうすると、例えば、次のような斜面で重力が5Nのとき、斜面に水平な方向の分力の大きさが何Nか、もうわかりますよね。
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