1258 生産者・消費者・分解者

平成24年度の教科書から、生産者・消費者・分解者の定義が変更されています。
いちばん端的でわかりやすくまとまっている説明は、啓林館のサイトです。

「生産者」の定義については
(旧) 光合成を行う植物。
(現) 光合成によって自分で栄養分をつくる生物。つまり独立栄養を営む生物。五界説において原生生物界に属する緑藻類など植物ではない生物も含む。
となっていますが、現在の中学理科では緑藻類などは扱いませんから、事実上変更はナシと言っていいでしょう。

大きく変更されるのは消費者と分解者です。
「消費者」の定義
(旧) ほかの生物を食べて栄養分を得る動物。ただし,菌類・細菌類のような有機物を無機物にする最終分解者は除く。
(現) ほかの生物から栄養分を得る生物。つまり従属栄養を営む生物。
「分解者」の定義
(旧) 有機物を無機物に分解する菌類や細菌類(最終分解者)。
(現) 消費者のなかで,生物の遺骸やふんなどから栄養分を得る生物。

この定義から変更される最大のポイントは
生物全体を「生産者」「消費者」「分解者」と3つに分けていたのが、「生産者」「消費者」の2つに分けられ、「分解者」は「消費者」の一部という扱いになっているということです。

そして、次の2つのカテゴリーの生物群について、分類上の変更が生じました。

ア ミミズやダニなど、生物の遺骸やふんを食べる土壌動物
 ミミズは落ち葉などを食べ、糞をします。その中にも有機物は含まれています。したがって、以前は有機物を無機物に完全に分解するわけではないので、分解者ではなく、「消費者」という扱いでした。ところが、新しい定義では、生物の遺骸やふんを分解してくれるという意味で「分解者」の称号も得ています。もちろん、「消費者」でもあります。

イ 菌類・細菌類
 菌類や細菌類は有機物を完全に無機物に分解するため、「分解者」だったわけですが、それに「消費者」が加わりました。

ここまで書いて気づいたのですが、「分解者」の定義の変更は、何を分解するか、という点が変更されたということができます。
有機物を分解する(その結果、無機物ができる)という考え方から、生物の遺骸やふんを分解するという考え方へと変更されたととらえることができます。

ただし、中学校学習指導要領解説理科編(平成20年9月)では、「自然界では生産者である植物,消費者である動物,分解者である菌類や細菌類などの微生物が生活し」(p.109)等の記述から、むしろ古い方の定義が念頭にあるようです。おそらくこれは、次回の指導要領の改訂で修正されることでしょう。


追記

てことで、中学校学習指導要領(平成29年告示)解説が出たので見てみました。

…植物や光合成をする水中の小さな生物は,生産者と して無機物から有機物を合成するが,無機物から有機物を合成する能力のない生物は消費者として,他の生物や生物の遺体や排出物などの有機物を摂取することが必要であることや,…また,生物の遺体や排出物中の有機物を摂取する生物は,生態系の中で,消費者であると同時に分解者としての役割も担っていること…

やっぱり修正されていました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました