1271 大正時代の工業製品標本の発見

1.マッチ製造順序及其製品標本
2.セルロイド製造順序及製品標本
3.人造絹糸製造順序及製品標本
4.西洋紙製造順序及製品種類標本
5.日本紙製造順序及製品種類標本
6.砂糖製造順序標本

と、さまざまな製品標本が学校の理科準備室から見つかり、これはいったいどういうものなのだろう?と学校のお仕事の傍らで調査・研究し、そこでわかったことは以上のようなブログ記事で紹介してきたのですが、内容を整理し、紀要にまとめました(←リンク先からダウンロードできます)。2020年のことです。

 古い学校なので他にも教材などをはじめとして古いものがいろいろ出てきます。私なんかはこういうのものを見るとワクワクする方ですが、そういう人はどうやら稀なようです。

 現在は使われないもの。そうするとこれらをどうしたものか、(もっというと「何で捨てないんだ」というプレッシャー)という問題が生じます。授業などで使わないのに、ただただそこに保管しておくのはスペースがもったいない。とはいえ、そのままで捨てるのでは気が引ける…。
 ということでせめて写真にでも記録してから捨てよう…それが「りかにがコレクション(旧ブログでは理科室コレクション)」のカテゴリーを作ったきっかけです。その中には、捨てたのを後悔しているものもたくさんあります…。
 いや、自分のところにとどめておきたいという物欲ではなく、貴重なものがこの世からなくなっていくという、寂しさというか喪失感というか、そしてそれを救えなかった自分の無力感にさいなまれるのですよ。

 ただ自分もそれなりに経験を積んでくると、うまく大切にしてくれそうな「引き取り先」を探すようになりました。それにはまずこれがどんなものかを調べなくてはなりません。そうやって調べていったのです。
 ある講演会で聞いた話です。海外の古本屋さんは、手持ちの本についてその背景や価値を徹底的に調べて、その本について何ページもの紹介、というか論文といった方がいいかもしれませんね、それを古本のカタログに掲載しているのだそうです。こういう背景があって、その中でこの本はこういう特徴でこういう価値や意義があって…などなど力説しているわけです。ま、最後には価格がのっているそうですが、それはさておき、「私は人類の財産を次の世代に渡せるように大切に預かっているだけだ」というポリシーということで、自分がやろうとしていることを究極に進化させた形だなぁとひしひし感じました。

 まだまだ海外の古本屋さんには足元にも及びませんが、なんとなく古い教材の調べ方、というか価値や意義の見いだし方が分かってきたような気もします。よかったら、あなたが見つけた古そうな理科教材があったら、教えてくださいな。

 これらの標本もいろいろ調査研究したかいがあって、セルロイド標本についてはセルロイドハウス横浜館へ、それ以外は、島津製作所創業記念資料館に無事、送り出すことができました。
 このままうちの学校に置いていても、劣悪な保存環境でまた何十年かほこりかぶったあげく、古いものに興味のない先生に捨てられてしまうだけだろうなとを考えると、幸せ者だよ君たちは。

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