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1284 植えてはいけない「けし」にご注意(後編)

法律で規制されていない「けし」 1

ヒナゲシ Papaver rhoca ケシ科 ケシ属
 高さ30cm~80cmの1年草。葉は羽状に深く切れ込み、全体に粗毛が密生しています。俗に虞美人草と呼ばれ、赤色、白色、桃色、橙色の一重や八重咲きなど多くの園芸品種があります。

法律で規制されていない「けし」 2

ナガミヒナゲシ Papaver rhoca ケシ科 ケシ属
 地中海地方の原産で、雑草として各地に広がっています。高さ20~60cmで、ヒナゲシに似ていますが、花はやや小さく淡赤色。果実は細長い形をしています。

法律で規制されていない「けし」 3

オニゲシ(オリエンタル・ポピー) Papaver pseudo-orientale ケシ科 ケシ属
鑑賞用として広く栽培される多年草。高さ50~70cmで、ハカマオニゲシと同様に葉が羽状に深く切れ込み、全体に白色の剛毛があります。オニゲシの基本種は花が橙色ですが、近年、オリエンタル・ポピーと称し、様々な園芸品種が出回っています。

法律で規制されていない「けし」 4

アイスランド・ポピー Papaver nudicaule ケシ科 ケシ属
 和名はシベリアヒナゲシ。シベリア原産の多年草ですが、園芸では一年草として扱われます。葉は根生し、羽状に2~3対に切れ込みます。花茎は細く、高さ30~50cmで、粗い開出毛があります。花は3月ごろから咲き、黄色・白・橙色・桃色などがあります。

法律で規制されていない「けし」 5

メコノプシス(ヒマラヤの青いケシ) Meconopsis spp. ケシ科 メコノプシス属
 メコノプシス属には約40種があり、主にヒマラヤから中国西部にかけての鉱山や高地に分布します。
 当園ではメコノプシス・ベトニキフォリアおよびメコノプシス・グランディスなどを栽培しており、花は5月に咲きます。
写真はメコノプシス・ベトニキフォリア Meconopsis betonicifolia中国西南部原産

法律で規制されていない「けし」 6

モンツキヒナゲシ Papaver commutatum.  ケシ科 ケシ属

アトランティックポピー Papaver atlanticum  ケシ科 ケシ属

ほか、写真はありませんが次のようなケシもあります。
ハナビシソウ Eschscholzia californica ケシ科 ハナビシソウ属
アザミゲシ Argemone mexicana ケシ科 アザミゲシ属
ツノゲシ Glaucium flavum ケシ科 ツノゲシ属

植えてはいけない「けし」の見分け方

 あへん法で規制される「けし」(ケシやアツミゲシ)と植えてもよい「けし」(ヒナゲシ等)は同じ仲間(ケシ科ケシ属)です。したがって花や果実の形状はよく似ています。次の3つの特徴で区別するのがよいでしょう。

1.葉や茎に毛は生えていないか
植えてはいけない「けし」は 葉や茎にほとんど剛毛がない
植えてもよい「けし」は 葉や茎に剛毛が多い

2.葉は茎を抱いているか
植えてはいけない「けし」は 葉は葉柄がなく、茎を抱く
植えてもよい「けし」は 葉は茎を抱かない

3.葉の切れ込みは浅いか
植えてはいけない「けし」は 葉の切れ込みは比較的浅い
植えてもよい「けし」は 葉が羽状に深裂する

不正な「けし」を見つけたら

 法律上、植えてはいけない「けし」を植えることはもちろん、持ち運ぶことも禁止されています。
 もしも、不正なケシを見つけても、引き抜いたり切り取ったりしないでください。怪しいなと思ったら、東京都薬用植物園にお問い合わせいただく、お手数でも福祉保健局健康安全室薬務課麻薬対策係または東京都保健所までご連絡ください。

 …ということでした。それで、大正時代の罌粟の標本まで任意提出(その後焼却処分)したのでした。

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