1793 複雑な濃度の計算問題は、とりあえず溶質の質量を求めよう

公式は使えても

質量パーセント濃度の計算問題。

濃度=溶質/溶液 ×100 という公式を覚えて使いこなせるようになったのも束の間、問題練習を進めていくうちに訳の分からないパターンが出てきます。

△%の食塩水に水を加えるだとか
○%の食塩水と△%の食塩水を混ぜる とか ○%の食塩水を蒸発させる とか
それで何%になりましたかとか、●%にするためには何g ✖✖したらよいですかとか
おまえら現実にそんなことしないだろう、なに問題のための問題を作ってるんだよ!

お前は本当にそうやって食塩水を作るのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。 お前、計算問題を出題したいだけちゃうんかと。
中学理科通の俺から言わせてもらえば今、中学理科通の間での最新流行はやっぱり、溶質の質量をおさえる、これだね。

例題解説

具体的な問題から、とりあえず溶質の質量をおさえるという攻め方の有効性を解説しよう。
なお、濃度=溶質/溶液 ×100 という道具は使いこなせるものとします。(そこがあやふやな人はまずそこを固めるのが先です)
なお、この先で「濃度」と言っているのはすべて質量パーセント濃度をさします。問題集とかいちいち丁寧に質量パーセント濃度と書いていますが、一部の方々に揚げ足を取られないようにという配慮ですね。と同時に、ほとんどすべての方々にとっては冗長になりますが。

水を加える場合

まずは水を加える場合。水を加えたところで、溶質の質量が変わらないので比較的易しい問題が多い。

【水を加えた場合①】
100gの水に25gの食塩を溶かした。
この食塩水に水を加えて濃度を10%にした。何gの水を加えたか。

食塩の質量が25gと出ているので、特に易しいパターン。
食塩が25gで10%なら 25/0.1=250g の食塩水と分かります。
なので、そこから最初の水100gと食塩25gを引いて
250-(100+25)=125g

【水を加えた場合②】
5%食塩水が80gある。
この食塩水に水を20g加えると、濃度は何%になるか。

5%食塩水が80gということで、とりあえず食塩の量を求める。
80×0.05=4g 食塩は4g
水を20g加えたら、食塩水は80g+20g=100gとなる。
このうち食塩は4gだから濃度は
4/100 × 100= 4%

蒸発させる場合

 わかっている人には当たり前な話なのですが、蒸発するのは水だけなので、水の質量は減っても、食塩や砂糖の量は変わりません。ただ、意外にこれをわかっていない中学生もいますので注意が必要です。食塩の質量変化に悩み、そこで思考が止まってしまいますので、蒸発しても減るのは水だけだ、食塩の量は変わらん!ということはきちんと確認しておきたいところです。
 そこさえわかれば、蒸発のパターンは、水をマイナスg加えたというわけなので、水を加えた場合と本質的には変わりません。
「溶質の量は」と言わないのは、例えば二酸化炭素のような気体は飛んで行っちゃいますからね
というか、実際に食塩水を蒸発させて濃度を調整するようなめんどくさいことするやつ、リアルでいないだろう!

【蒸発させる場合】
10%の食塩水が300gある。
個の食塩水を何g蒸発させれば15%の食塩水になるだろうか。

10%食塩水が300gということで、とりあえず食塩の量を求める。
300×0.1=30g 食塩は30g
蒸発させても食塩は30g。15%ということは食塩水は
30/0.15=200 200gの食塩水ということになる。
蒸発させた水は
300-200=100g

濃度の違う食塩水を混ぜる場合

 濃度の違う食塩水を混ぜて何%になる?というタイプの問題。中学受験の世界では、天秤のつりあいの考え方で解かせているところもありますが、天秤の考え方を理解するほうが難しいと思うのは私だけでしょうか。いや、非常に有効な考え方だというのは認めますが、子供たちはどうしてそれで求められるのかわかっているのか、すなわち本質を理解しているのか、怪しい気がしたもんで…。

【濃度の違う食塩水を混ぜる場合】
濃度8%の食塩水A100gと、濃度14%の食塩水B200gを混ぜ合わせてできた食塩水の濃度は何%か。

食塩水Aに含まれる食塩の量は8g、食塩水Bに含まれる食塩の量は28gと求められます。
食塩水A,Bを混ぜ合わせると食塩の量は 8+28= 36gとなります。
一方、食塩水A,Bを混ぜ合わせた食塩水の量は 100+200=300gですから
濃度は 36/300*100= 12% と求められます。

まとめ

複雑な濃度の計算問題はとりあえず溶質の質量を求める。
これが通の解き方。素人にもお薦め出来る。

聞いた話ですが、どこかの理科の先生が子供の学校の宿題か何かに、食塩水の問題があって、濃度45%みたいな、実際には溶けない濃度の設定があったと理科の先生同士の話題にしていたそうです。「けしからん!」と激高していたのか、生暖かい眼で見守っていたのか、「やっちまったなー」とニヤニヤしていたのかまではその伝聞情報には入っていませんでしたが、「先生はどう思われます?」とふられてしまいました。ミョウバンのときはこだわったけど、ぶっちゃけ底が浅い話であまり興味がわかなかったので、とりあえず「砂糖にすればよかったんじゃない?」と答えておきました…。

コメント

タイトルとURLをコピーしました