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0107 【物質のすがた14】気体の発生と性質(5) 気体の性質と集め方

 これで一通りの気体についてみていきましたが気体の確認法についてまとめておきましょう

酸素…火のついたマッチを近づけると炎を出して燃える
水素…火のついたマッチを近づけるとポンと音がする。
二酸化炭素…石灰水が白く濁る
アンモニア…鼻につんと来るにおい。水に溶けるとアルカリ性

塩素…プールの(消毒の)におい インクの色が消える (3年で学習します)

 さて、酸素や水素なんかは、こんな感じで気体を発生させて集めますが、アンモニアをこのような装置で集めようとすると、どうなるでしょうか。

 そう、アンモニアは水に溶けやすいので、せっかく発生したアンモニアも水槽の水に溶けてしまって、集気びんにはほとんどたまることはありませんよね。
 じゃあ、アンモニアはどうやって集めたらよいのでしょうか。

課題:気体はどうやって集める?

 もう一度こちらをごらんください。

 これは、集気びんの中には最初水が入っていたのが、水の上に発生した気体と置き換わっていきます。なのでこのような気体の集め方を水上置換法といいます。

 しかし、この水上置換法はアンモニアのような、水に溶けやすい性質の気体には使えません。

 では、アンモニアを集めるのにはどうしたらよいのでしょうか。水を使えないので空気中で集めるしかありませんね。
 でも空気中に気体が出たらどうなるか。軽い気体なら上へ行くし、重い気体ならば下へ行きそうです。ちなみに軽い、重いというのはより正確に言うと空気より密度が小さい・大きいってことですが、こまけぇたぁいいんだよ!

 空気より密度が小さい気体は、上に行くので、気体の出口の上でキャッチする、上方置換法がおすすめで、

 空気より密度が大きい気体は、下に行きたがるので、気体の出口の下でキャッチする、下方置換法がおすすめです。

結論:気体は性質により、次のように集める。
(1) 水に溶けやすいかどうか
 水にとけやすければ(2)へ。
 水に溶けにくければ水上置換法
(2) 空気より密度が小さいか大きいか
 空気より密度が小さければ上方置換法
 空気より密度が大きければ下方置換法

 結論は出ましたが、もうちっとだけ続くんじゃ

 酸素や水素は水に溶けにくいので水上置換法を、アンモニアは水に溶けやすく、空気より密度が小さいので上方置換法を使います。

固体や液体と同様に、気体も質量と体積から密度を求めることができる。
水より密度の小さい物質が水に浮き、大きい物質が水に沈むように、空気中では空気より密度の小さい気体はは上に、密度の大きい気体は下にたまりやすい。気体の密度(g/L)★1
水素  0.08
アンモニア 0.72
窒素 1.16
空気 1.20
酸素 1.33
二酸化炭素 1.84
★1 気体の質量は1cm3だと小さいため、1Lあたりの質量で表している  

 問題は二酸化炭素。「少し水に溶ける」とは「水に溶けやすい」のか「水に溶けにくい」のか、どちらに分類されるのでしょうか。
 実は、どっちに分類してもいいのです。
 もし、「少し水に溶ける」とは実際に溶けてるんだから「水に溶けやすい」とすれば、空気より重い二酸化炭素は下方置換法ということになります。
 一方、「少し水に溶ける」とは少ししか溶けないんだから「水に溶けにくい」とすれば、水上置換法ということになるのです。
 実際、二酸化炭素は下方置換法でも水上置換法でも捕集することが可能です。

 ところで、気体の補集法について授業をすると、鋭い生徒から質問が飛んでくることがあります。
水に溶けにくい気体でも、下方置換法や上方置換法で集められるのではないですか?
 そうなんですよ 川崎さん
 水に溶けにくい気体、たとえば水素を上方置換法で集めることは十分できるんですよ。

 だから、気体の捕集方法について、本来の考え方は

(1) 空気より密度が小さいか大きいか
 空気より密度が小さければ上方置換法
 空気より密度が大きければ下方置換法

(2) (1)に加え、もし水に溶けにくければ
 どこまで気体がたまったのかがわかるので便利な水上置換法でも集めることができる。

というまとめ方も、現在の日本の理科のテストで○がもらえるかは保証しませんが、たしかに筋は通っています。

 ただし、上方置換法や下方置換法では、集気びんの上(下)の方からそれまであった空気が発生した気体に置換されていくため、無色の気体どうしでは、気体がどこまでたまったのかがわかりにくいという大きな欠点があります。
 それに対し水上置換法は水が気体に置き換えられていくので水面の位置をみることで、どこまで気体がたまったのかがすぐにはっきりわかるというメリットがあります。
 このメリットのため、水上置換法が使えるなら使おう、それが無理なら上方置換法や下方置換法でやろうというのが上の方でまとめられた、一般的に言われている気体の集め方の判別法です。
 二酸化炭素も教科書などでは水上換法で集めているものが多いように思えます。
 ただし、水上置換法にも欠点があって、二酸化炭素の場合、発生した気体が少しとけてしまうので、発生した二酸化炭素の体積を測ることはできません。この論点は平成27年度の全国学力・学習状況調査【中学校理科】でも問われましたね。さすが全国学力調査、「やるなぁ」と思わせる良問です。

ましてアンモニアを水上置換法で集めようといったら、もう…

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