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0112 【水溶液2】質量パーセント濃度

 どちらも同じ物質がとけている水溶液ですが、この違いは何でしょう。

 そう、左の方が濃い色をしていますね。もちろん、色のついていない食塩水でも濃い、うすいはあります。このような水溶液の「濃さ」を数値で表現するにはどうしたらよいでしょうか。

課題:水溶液の濃さはどのように表せばよいのだろうか。

 話を進める前に、まず新しい言葉について説明します。
溶質…溶液に溶けている物質
溶媒…物質を溶かしている液体
溶液…物質が溶けている液全体
特に溶媒が水の溶液を水溶液といいます。

 え、質問?水じゃない溶媒って何があるんですか?うん、有名どころはエタノールやメタノールなどのアルコール類ですが、これらは水と違って有機物なので有機溶媒と呼ばれます。
 ヨウ素は水にはほとんど溶けないんだけど、エタノールなどアルコールには溶ける。ヨウ素のエタノール溶液がヨードチンキといわれる殺菌・消毒薬です。

ちなみに、デンプンを調べるヨウ素液はヨウ素液を何に溶かしたかというと、水は溶けないんだけど、水をヨウ化カリウムに溶かしたヨウ化カリウム水溶液だととけるというので、それに溶かしたものです。つまり、ヨウ素液って言うけど、本当は「ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液」なんですね。実際には「ヨウ素ヨウ化カリウム溶液」と呼ばれています。

ただ、中学校では水以外の溶媒は扱いません。

 さて、本題に入ります。
 まず、濃さとは何でしょう。簡単に言うと、
この(溶液の)中に物質(溶質)がどれだけとけているか
 ということになります。
 で、ここの「どれだけ」という部分ですが、これを数値化にするにあたって、体積で表すやり方と質量で表すやり方がありますが(高校になるとmol数で表すやり方もありますが、どちらかというと質量で表すやり方に近いですね。)体積は例えば水とエタノールを混ぜると体積収縮がおこるなど扱いが難しいので、中学校の理科では質量を使います。 そして「どれだけ」について、もう一つ重要なのは、具体的な質量で表すのではなく、溶質の質量の割合で表す、ということなんです。

と、するとですよ。割合ってことは小学校の算数では
割合=比べる量÷もとにする量
なんて公式があって、文章題で「比べる量」と「もとにする量」のどっちがどっちか見分けがつかない、なんていうのがお約束だったりします。

 ここでは、溶質の質量の割合ということなので、「溶質の質量」こそが「比べる量」の側にくることは間違えないのですが、そうすると、「もとにする量」は何なのか。
 普通に考えると2つ、アイデアが出てきます。
 一つは「水の質量」をもとにする量とするアイデア。溶質の質量をもとにする量の中に含まないやり方です。中学校で学習する溶解度の定義はは「水100gに溶ける物質の量」ということで水100gをもとにしています。この場合、水100gに25g物質がとけていると、(この考え方で表される)濃度は25%となります。
 もう一つは「水溶液の質量」をもとにする量とするアイデア。溶質の質量をもとにする量の中に含めてしまうやり方です。こちらが実際に小中学校で採用されている方法です。この方法の利点は「○%の水溶液●g」に含まれる溶質の質量が簡単に求められるという点です。
 ということで、どちらも一長一短あります。小中学校で採用されていない「水(溶媒)だけの質量」をもとにする量とするアイデアで濃度表現の世界を構築するやり方もやろうと思えば可能です。めんどくさくなる場面も出てくるでしょうが。

 小中学校では、「水溶液の質量」をもとにする量としています。
 もう一度、割合の公式に登場願います。
割合=比べる量÷もとにする量
で、比べる量が溶質の質量、もとにする量が「水溶液の質量」、そしてその割合が濃度だとすると、それぞれ言葉を置き換えて、
濃度=溶質の質量÷水溶液の質量
となりますが、ここで割合の表現として%(パーセント)を使います。
 %はパーのセントです。「セント」は100、「パー」は密度のg/cm3や速さの㎞/時の/、スラッシュのことで、「~あたり」という意味を持ちます。つまり、「パーセント」で「100あたり」ということになります。50%は100あたり50、消費税8%は100円あたり8円、というふうに。
 濃度=溶質の質量÷水溶液の質量 という式で出てくる濃度(割合)は、いうなれば、「1あたり」ですので、パーセント=100あたりにするには、これを100倍します。

        溶質の質量(g)
濃度(%)=----------- × 100
        水溶液の質量(g)

という公式が出てきます。
 水溶液の質量(g)は 溶質の質量(g)+水の質量(g) とすることもできます。
 このような考え方で求められる濃度は「質量パーセント濃度」といいます。水溶液の濃さはこのように質量パーセント濃度で表せばよいのですね。

結論:水溶液の濃さは水溶液の質量に対する溶質の質量の割合である「質量パーセント濃度」で表せばよい。

 ところで、前回、水溶液のモデルをかきましたが、最後に水も含めたモデルを考えました。そのモデルを碁石を使って表します。黒い碁石を溶質、白い碁石を溶媒(水)とすると、この水溶液の質量パーセント濃度はいくらでしょうか。

碁石全体の中の黒い碁石の割合が濃度ということになります。

この図では黒5個、白55個あるので、白黒合計60個中の5個で
濃度は5/60 ×100% =8.3% となります。

食塩水100gに食塩が5g入っていれば、濃度5%ということになるのです。

 食塩と水の質量から質量パーセント濃度を求めるパターンの他、溶液の質量と濃度から食塩(と水)の質量を求めるパターンや食塩の質量とパーセント濃度から必要な水の量を求めるパターンなど、いろいろなケースがあるので練習しておくとよいでしょう。

 ということで一つ問題。暗算でできるのですぐに答えてください。
 ショ糖などの糖類は非常によくやたらに水にとけます。例えばショ糖(いつものお砂糖)が20℃の水100gに約200g、つまり水の量の倍近く溶けます。
では、問題いきます。
「100gの水に100gの砂糖を溶かした砂糖水の濃度は何%?」
100%!って答えたくなりますが、砂糖水は100gではなく200gですからね。正解は50%です。
100%の砂糖水って言ったら、ただの砂糖です。もはや砂糖「水」ではないですね。

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