教育実習の研究授業の講評。
実習をやっても先生になるとは限らないので、他の仕事についても役立つように…。
2点目についてはマーケの教習所の影響を大きく受けている、というか受け売りに近いです。
授業の細かい点や理科についてのお話はすでにしていただいたので、私からは別の角度から2点お話ししたいと思います。
一点目、授業をしているときの自分の視点から見るだけではなく、生徒の視点、神の視点でも見てみましょう。
授業をしているときは慣れないとどうしても教師である自分の視点から物を見がちです。でも、先生は授業の一部にしかすぎませんし、先生からの視点がすべてではありません。生徒から見た視点もありますし、先生と生徒を第三者的に見た「神の視点」というのもあります。
授業をしながら自分以外の視点で見るということは、かっこよく言うと「主体的な学習に取り組む態度」でおなじみのキーワード「メタ認知」というやつにも関係してくる話です。
生徒の視点では、特にスポットの当たっていない生徒の視点に注目できるようにしたい。たとえば、生徒が当てられて発言しているとき、発言しているその生徒以外の生徒には、授業のその瞬間がどう見えるか。先生と発言している生徒のやり取りをちゃんときいているのか、それともダレた雰囲気になっているのか、発言している生徒とやり取りしている間に、そこに目を向けられているかどうかだけでも、今後の授業力の向上に大きく違いが出てきます。
神の視点というのは、授業の登場人物である教師、生徒のどちらでもない、しかし全体を見ることができる、ちょうど舞台を見ている観客のような位置からの視点です。
教師がこう伝えたいのに、生徒はこのようにズレてとらえている、みたいな教師と生徒がかみあっていないところはないか、教師も生徒も満足いっているようだけど、授業全体が楽しくても悪い意味でゆるくて何も学びがない状態になっていないか。
いきなり生徒や神の視点をリアルタイムでとらえることは難しいですから、もし徹底的にそのような練習をするなら授業の様子を動画にとり、早送りしないで視聴して考えるという方法があります。ここで、早送りしないということは地味に重要なことで、時間の使い方、それもテンポというかスピード感、あるいはダレた無駄な時間だった、という雰囲気を体感するには実際と同じスピードで、というのは大切なことです。
生徒や神の視点でリアルタイムで授業を見ることができるようになると、生徒の反応やクラスの雰囲気を見ながら授業をうまく変えられるようになり、授業力が大きく向上します。
二点目、プロのクリエイターとしての意識をもちましょう。
ほぼまちがいなく、皆さんは将来仮に教員にならなくても何かをクリエイトする立場になるはずです。クリエイターと言えば、商品開発やものづくり、芸術家などをイメージするかもしれませんが、それだけではありません。研究することもそ世の中にないことを見つけるというわけですからクリエイティブだし、コンサルも案件の解決をクリエイトするし、営業も顧客の満足をクリエイトしています。もちろん教員だって生徒を巻き込んで授業をクリエイトしているわけです。
しかし、いくらクリエイターと言えどもあらゆるものをあらゆるパターンでクリエイトできるわけではありません。クリエイターが物を作るというのは最終的には人格の勝負になってくる。「哲学」をいかに構築していくか、が試されているのです。
たとえば同じ内容を学習するのに、実習生によって授業のアプローチが違っていた。これは「こういうやり方がいいだろう」というその人の哲学の違いが授業の違いになっていたわけです。
しかしこれは厳しく言うと、その人のもっていないもの、限度以上のものをクリエイトできないということでもあります。うすっぺらい人にはうすっぺらいものしか作れないし、つまらない人には面白い授業ができないわけです、
だから、人格とか人間としての幅を広げる必要があるというのでしょうか、今皆さんにやってほしいことを申し上げるなら、向上心と好奇心をもって世の中の様々な事物や現象に目をむけ、多様な人間と関わり、多くの体験をしていくこと。どんなバックグラウンドをもつかによって「哲学」が構築され、面白いもの、面白い授業を構築し、そこまでやる必要はないかもしれませんが、その人しか作れないものをクリエイトしていけるのではないでしょうか。
ぜひみなさん、プロのクリエイターを目指してください。


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