PR

0854 マーケの教習所

最近、「知識の創造」をどう授業にデザインするかを、あるチームで考えているのですが、なかなか明確な答えが出ません。
ただ、やっぱり教師がクリエィティブでないと知識の創造はないだろう、ということはわかりました。

そんなことを考えているとき、ずーっと昔ネットで読んだ一つのサイトを思い出しました。
教育とは全く無関係のマーケティングのサイトです。

マーケの教習所
株式会社近代生活所によるマーケティングの理論と実践の ための公開講座で、サイトにはその講義録がアップされていました。
ただそのサイトはリンク切れで、「株式会社近代生活所」というのもググっても出てきません。「近代生活研究所」の可能性もあるのですが、「近代生活研究所」でググっても関係なさそうなところばかりです。もちろん、「マーケの教習所」でググっても、マーケティング関連のリンク集のリンク先の一つとして紹介されているだけで、肝心のサイトにはたどり着けません。

しかし、こんなこともあろうかと講義録を全部ダウンロードしておいたので、何年かに一度、ハードディスクの整理をするときに見つけては読み返しています。
講義録データのテキストファイルの日付が2001‎年‎8‎月‎7‎日ですが、これは私がダウンロードした日。一説によると1996年ごろから放置されていたらしいです。とはいえ1988年から1990年まで放送されていたフジテレビの深夜番組「マーケティング天国」の話が取り上げられていたので、どんなに古くても昭和に書かれた文章(というか昭和に行われた講義)ということはないようです。

で、なんで思い出したかというと、この講義の最後の方で、哲学について触れているところが、マーケティングのみならず、あらゆるクリエイティブなものに共通した示唆を感じたからです。私も研究授業などではちょっと変わったものを提案がてらすること、かっこよく自慢気に言うと新しい授業をクリエイトすることが多いのですが、そういう時にどうしてそういうことを思いついたのか聞かれることが多いです。自分でも今までなかなかしっくりとした答えができなかったのですが、もしかしたらこれを読んだことが影響してるのかもしれないな、と思いました。

で、その講義のほんの一部、商品開発に必要なものを述べている部分を抜粋します。

商品開発に必要なもの…(中略)…重要性は一番でしょうが、コンセプトの確立とアイデアの発想であります。天を知り地を知り人を知って得た情報を整理・統合して形にしていく上で必ず必要になってくるのがこのふたつです。極端なことを言えば、ここさえしっかりできていれば他のものは何もいらない。ただしかし、それだけのものですから短い時間に説明しつくせるような代物ではありません。…(中略)…この分野でむしろ真に必要なのは、人格とか人間としての幅ですから、今皆さんができることを申し上げるなら、常に向上心と好奇心をもつことではないでしょうか。世の中の様々な事象に目をむけ、様々な人間と接し、なるべく多くを体験すること。例えば、何かの商品のアイデアを発想してみて、つまらないものしか思い付かなければ、それが今のあなたの人間としての幅なのです。商品開発をはじめとしたマーケティングの様々な行為も、最終的には人格の勝負になってくる。今回の講義で何度も申し上げる「哲学」をいかに構築していくか、が試されているのです。薄い人には薄い商品しか、寂しい人には寂しい商品しか開発できない。結局は、そういうことなのです。

それから、これ最後なんですけれども、大事なことを話します。先ほど哲学ってことを申し上げましたけれど、哲学は自分の頭の中で持ってるだけではダメなのです。アイデアとかコンセプトとか市場の関係とか整理してまとめ上げて商品を開発する。ここで終わってしまっては売れる商品とはなりえない。そこに自分の哲学から導き出される「たくらみ」をですね、一つ放り込んで行かなければならない。…(中略)…自分は一体何をしたいのか、自分は世の中に対してどんな仕掛をしたいのか。別の言葉で表せば、それがつまり「たくらみ」なのです。仏をつくった時の魂みたいなものです。それを一つ放り込んで、はじめてプランつまり商品というものが出来上がるのです。人間なら自分の個性とか、考えとか、自分なりの視点っていうのが必ずあるはずです。それがここでいう「たくらみ」なのです。そして商品はこの「たくらみ」なしには動いてくれない。ですから、個性やオリジナリティを出すのを忘れてしまわないで下さい。自分だけの考えを提示することを恐れないでください。自分の個性を主張するために、データを使ったり、市場をその個性的な目で見続けていけば必ず自分なりの他の人にはできないオリジナリティのある商品開発ができると思います。このあたりの話はマーケティングの講義というよりも、まるで「生き方教室」のようになっているのですが、けれどそれはやはりとても大切なことなのです。

これだけの引用は著作権的にどうかと思いますが、ネットを探し回ったのですが見つからなかったこと、マーケティング関係者のみならずあらゆるクリエイティブな仕事の人は一読しておいておきたいお勧めの文章であること、そしてたぶん今の自分のクリエイティブな部分に少なからず影響を受けていることから、一部を掲載させていただきました。

もし著作権者からご連絡があり、削除の要請がありましたら即座に削除させていただきます。合わせて、「学ばせていただきました、ありがとうございます!」と感謝申し上げたいところです。
何かこのサイトについてご存知の方、教えてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました