本来この内容は小学校でやったので中学ではやらなくていいし、中学の学習指導要領(解説)にはやれと書いていないのだけれども、教科書にはばっちり載っていることもあり、簡単に取り上げたいと思います。
地層のでき方
風化
まず、地表の岩石は、
温度の変化…温度変化による膨張、収縮
水のはたらき…膨張した岩石の隙間に水が入り、その水が凍って体積が増えることで岩石に力を加える。
などのはたらきでもろくなって崩れていきます。これが風化です。
城ヶ島の楫の三郎山。小さい穴の構造はタフォニ(Tafoni)とよばれ、海水がかかって水が蒸発した後に残った塩類が結晶として成長していくときに、岩盤の表面が破壊してできた塩類風化によってできます。
侵食
そうしてもろくなった岩石やすでに土砂になったものは、流水や風で削られていく、それが侵食です。浸食による地形としてはV字谷あたりが有名ですね。
なお、国語辞典とか新聞では「浸食」を使っていても、学術用語集では「侵食」とあったので、ここでは侵食を使います。これに関して毎日新聞 校閲センターの「毎日ことば」などに詳しい説明が載っています。ただし、大日本図書や学校図書の教科書Q&Aによると、学術用語集で「侵食」を採用しているのは、岩石や地層が水に「浸る」というよりは、土地を「侵す」という意味合いが適当であるという判断があったらしいです。なるほどねぇ。
V字谷
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
ここで東京・上野科学社が製作した、4個組の侵食地形模型を見てみよう。
1.幼年期。掘れ溝ができる、浸食が進む。
2.壮年期。河谷が発達し盛んに浸食される、はっきりした嶺になる.
3.老年期。山頂が浸食され丸味を帯びる、谷は堆積で埋まる。
4.準平原。低く波打つ丘陵、平地のようになる。
幼年期と準平原を横にしてみると、侵食されて堆積した様子がわかります。
運搬
さらにそれを下流に運ぶのが運搬です。
堆積
そして谷から平野になったところや、河口では流れが緩やかになり、運搬できずにそこで土砂をポロポロ落としていきます。これが堆積。扇状地や三角州、自然堤防、段丘などの地形は堆積によるものです。
扇状地
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
三角州(デルタ)
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
なお、侵食・運搬・堆積と流速や粒径の関係について、ユールストローム図(ユールストロームダイアグラム)というのがあります。これについては中学理科から大きく離れてしまうので、近いうち別に取り上げたいなと思います。
また、「流れる水のはたらき」のイメージが強いので、地層の体積は海や湖などの水中、というイメージが強く、陸上ではできない、と思われるかもしれませんがそんなことはありません。火山の噴火で火山灰が積もったり、砂が風で飛ばされて砂丘ができるなど、陸上での堆積による地層も存在します。
れき、砂、泥
れき、砂、泥はいずれも材料は同じですが、違いは大きさだけです。「れき」は直径2mm以上、砂は16分の1mm~2mm、泥は16分の1mm以下の粒を指します。さらに泥は「シルト」と「粘土」に分けることができます。「泥」は1/16mm以下ということでしたが、シルトは1/16~1/256mm、粘土は1/256mm以下の粒を指します。
そういうと「ちょうど2mmの場合はれきですか砂ですか」「ちょうど16分の1mmだと砂ですが泥ですか」という質問が出てきそうですが、そういう人はもう少し地学のおおらかさを理解してもらえればなとおもいます。
呼び名の区別のためにいちいち大きさを正確に測る人はいないので、だいたいこんなもんだろうで十分だし、2mm前後だったられきと呼んでもいいし,砂と呼んでもいいのです。そのあたりの理科の中でも、「1万年前」は「ついこないだ」、1億kmの距離は「ご近所」になってしまうことさえある地学特有のぶっ飛んだスケール故のおおらかさ(いい加減さ)を感じてもらいたいと思います。
と長々と書きましたが 大きさが れき>砂>泥 これだけわかっておけばOK.
で、れき、砂、泥が混じっているものが河口に流れると、大きい(重い)れきはすぐ落ちていくので河口近くの浅いところに、小さい(軽い)泥はゆっくり落ちていく(もっと軽いとそもそも落ちない)ので河口から遠い、つまり深いところに堆積します、」
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