ということで、硫化鉄がFeSで表わされるように、元素記号を使って物質を表したものを化学式というわけでしたね。
では、物質を化学式で表すにはどうしたらよいのでしょうか。
(1)原子が1種類の場合
①分子の場合
分子を作る原子の個数を元素記号の右下に小さく書く。
例 水素 H2 酸素 O2 窒素 N2
塩素 Cl2 オゾン O3(おっさん大損)
②分子でない物質の場合
元素記号をそのまま書く。
例 炭素 C 硫黄 S 鉄 Fe 銀 Ag
(2)原子が2種類以上の場合
①分子の場合
1つの分子について元素ごとに原子の数を元素記号の右下に小さく書く。ただし1個の場合は数字を省略する。
つーか、具体例見て習うより慣れよ。そのほうが早い。
水 H2O (ふつお) 二酸化炭素 CO2 (使用中) アンモニア NH3 (NHK3チャンネル)
②分子でない物質の場合
元素ごとに原子の数の比を元素記号の右下に小さく書く。ただし1個の場合は数字を省略する。
やっぱりこれも、説明を読むより具体例見たほうが早い。
ここ数日の図のパワポファイル
塩化ナトリウム NaCl (ナックル・殴る)
とはいうものの…
二酸化炭素は炭素原子1個と酸素原子2個でできている分子ですが、
化学式はCO2 であり O2C は×です。
(よく小学生なんかはCO2と書くことが多いですが、もちろん×です)
酸化銀は銀原子と酸素原子が2:1の比で構成されている物質ですが、
化学式は Ag2O であり、OAg2 は×です。
数字はわかる(1は省略)と思いますが、元素の順番がわかりにくいですね。
化学式を書くときに元素が登場する順番には一定のルールがあります。
原則 日本語名で後ろにある元素の順に、化学式では先に登場する
(日本語名と化学式では元素の順番が逆!)
例 二酸化炭素 … 日本語では 酸素(2個)、炭素(1個)の順
→ 化学式では Cが先 O2 が後 → CO2
塩化ナトリウム … 日本語では 塩素(塩化)、ナトリウムの順
→ 化学式では Na が先 Cl が後 → NaCl
酸化銀 … 日本語では 酸素、銀の順
→ 化学式では Ag, O の順 Ag:O=2:1 → Ag2O
例外1(熟語) 物質名に次の言葉があれば、そこは一つの元素のように扱う。
(実際、このグループ(原子団)はセットで行動することが多いです)
炭酸 CO3 硫酸 SO4 硝酸NO3 アンモニウムNH4
例 炭酸水素ナトリウム … 日本語名 炭酸、水素、ナトリウム
→ 化学式 Na H CO3
→ NaHCO3 (通称:なほこさん)
例外2(慣用名があまりにも有名) これは中学では基本2つだけなので覚えてしまおう
・アンモニア NH3
・水 H2O (「酸化水素」と考えてもよい)
例外3(有機物)
有機物は原則CHOの順だが、分子の構造(原子の並び方)を示す関係で
C2H5OH (エタノール・お酒のアルコール)
CH3COOH(酢酸・「お酢」の成分) のように書くこともある。
※高校の化学では有機化学をドーンと勉強しますのでたくさん例外が出てきます。
というか有機物は今回学習した無機物とは別体系の命名法に従っています。
ただし、この方法ではAg2OではAgに2がつくけどNaClでは2がつかないなど、化学式中の原子の数についてまではわかりません(「二酸化炭素」の「二酸化」のように数字が明記されていれば別ですが)。これを理解するには3年生でイオンを学ぶまで待つ必要があります。(つまり、中2の段階では覚えるしかないってこと)
たまに、水素原子は1本、酸素原子が2本、窒素原子が3本、炭素原子が4本…などと「手の数」で説明しようとする説明もみられます。しかしこれを教えると、次から生徒はあらゆる物質でこれを試そうとして、SO4 あたりで破綻することや、分子をつくる物質とつくらない物質(共有結合とイオン結合)の違いがわからなくなる(例えば、Na-Clのような分子があるように誤解してしまう)という危険も伴う、諸刃の剣。中学生にはお薦め出来ない。
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