2162 中学理科で解ける 共通テスト2026 「地理総合、地理探究」「地理総合」編

 今年も共通テストの季節がやってまいりました。大学入試問題の中から中学校理科の知識・技能と思考力・判断力・表現力で解ける問題を取り上げていく企画です。
 とくに共通テストになって、思考・判断・表現力に重点を置いたために、知識面については逆に中学校理科で学習した範囲で収まってしまうなんてことが起こっており、それを丁寧に拾ってみました。
 2026年の最初は初日にあった「地理総合、地理探究」「地理総合」から1問ずつ取り上げます。
 そうそう、今年から「試験終了後であっても、大学入学共通テストの試験問題をSNSに投稿する等、インターネット上に掲載することはしないでください。という注意事項が加わりました。
 本ブログでは、
①共通テストでも中学校の理科で解ける問題があることを示すために引用の「必然性」がある 
②引用する部分は色付きの背景にして明確に区別している
③あくまでも中学校の理科で解けるよという解説がメインで問題がサブという「主従関係」
④引用は当該問題のみと必要最小限度
⑤出典はさんざん大学入学共通テストの問題だよと示している
 というかたちで、著作権法を意識しながら、大学入試センターの公表された著作物である試験問題を「引用」して利用しております。

地理総合

 中学理科で解ける問題は共通テストにあるとしても理科の科目だけだろう…そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
 地理、それも自然地理の内容は、中学校理科の「大地の成り立ちと変化」「気象とその変化」の内容と重なるのですよ。
 だから地理と地学で受験すると一粒で二度おいしいのでは…という気がしています。
 まずは地理総合の問題から行ってみましょう。

第3問

問1 降水量や風速は、海からの距離、気圧配置の季節性、地形などの影響を受ける。次の図1は気象観測地点を示したものであり、AとBは夏(6~8月)と冬(12- 2月)のいずれか,アとイは降水量と風速のいずれかである。夏の風速に該当するものを図1中の①~④のうちから一つ選べ。


同順位が複数あり、上位30位までの観測地点数が30より多い場合がある。
1991~2020年の平年値。気象庁の資料により作成。
        図1

 リード文は少々長めですが、ABは夏か冬か、アイは風速か降水量かだけど、夏の風速はどれ?という問題です。
 日本の気象で、季節風の話題はありますが、あれは風向の話で風速についてはふれていません。ただ、降水量については冬の天気は日本海側は大雪、太平洋側は乾燥した晴天が続く…ということで、日本海側に降水量が多い場所(黒丸)が多い図は④かな。②も迷いそうだけど、ちょいちょい関東の太平洋川沿岸に黒丸がみられるのでこれは違うと見破れます。なお、小笠原諸島などは低気圧が通過して雪が降ることはあるよね。
 冬の降水量が④とわかれば、アが風速、イが降水量で、Aは夏、Bは冬と分かる。したがって、夏の風速はA・アとなるわけだ。  
 「引用の方が分量が多いので主従関係がどうなっている、著作権法上おかしくね?」と突っ込まれるといけないのでもう少し話をすると、
 ③の夏の降水量は、九州あたりに黒丸がある。これは梅雨や台風の影響かな。
 風速については夏も冬もあまりはっきりした違いがなさそうだ。ということは、問題文を素直に受け取って「夏の風速はどれだ?」と4つの日本地図を見てもわからないということ。表になっていることを最大限利用しよう。
 なかなか考えさせる問題だけど、知識は中2というところが面白い。

地理総合、地理探究 

 高校の社会、じゃなかった地理歴史科と公民科について、地理総合、歴史総合、公共が必修科目で、「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「倫理」「政治・経済」が選択なのね。
 私は共通一次のときは「倫理、政治・経済」で受験しましたがそんな受験パターンは今はないのが悲しい。ちなみに高校では政治・経済は学校で必修でしたけど、倫理はとっていませんでした。
 それはさておき、さきほどの地理総合第3問の問1は、「地理総合、地理探究」の方に使いまわしていないのが謎だったのですが、「地理総合、地理探究」では地理総合が25点、地理探究が75点という配点だったのですね。50点ずつだったらそのまま地理総合の50点を使いまわせばよかったのに、25点なので「地理総合」の前半25点分を共通問題にしたと。なるほど。
 理科にはないやり方で理科と社会(地理歴史科と公民科)で文化の違いをひしひしと感じました。(主従関係、主従関係…)

第3問

問6
 持続可能な国土像を検討する上で、様々な自然災害の理解を深めることが重要である。次の資料1は、本州に位置する、ある火山の小~中規模の噴火によるハザードマップについてまとめたものであり、空欄PとQは、積雪期の融雪型火山泥流、無雪期の土石流のいずれかである。また、火山活動に関することがらについて述べた文章中の空欄には、西側と東側のいずれかが当てはまる。積雪期の融雪型火山泥流に該当する記号と空欄に当てはまる語句との組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

  資料1
・融雪型火山泥流は,噴火などの熱に伴い積雪が融けて生じる泥流。
・土石流は、降り積もった火山灰と降雨により生じる土砂と水の混ざった流れ。
・火砕サージは、空気とわずかな火山灰が混合して高温で流れ下るもの。

等高線の間隔は100m。色の濃い部分ほど急斜面であることを示す。
自治体の資料などにより作成。

 日本には多くの火山があり,様々な火山活動の影響範囲はそれぞれ異なる。 粒径の大きな噴出物が火口の近くに堆積する一方で,火山灰は遠方まで運ばれる。資料1 の火山のように,本州における火山の大規模噴火では,火山灰は火口から()に降ることが多く,降灰範囲が火口から数百kmに及ぶこともある。
 火山災害では火山周辺地域での影響が大きいが,遠方の地域においても影響を受ける。様々な火山活動の影響を理解することが災害対策に役立つ。

 中学理科でも災害のことは現行(平成29年改訂)の指導要領で詳しく扱われるようになりました。やはり3・11の影響が大きいかと。津波なんかもちゃんと扱われるようになりましたし。放射線については前回(平成20年改訂)の指導要領で中学校理科に入ってきましたが、完全実施は平成24年から、放射線の内容が加わった中学3年生の内容の先行実施は平成23年度、つまり東北の震災のあったその年からです。なので、「よりによってこんな年に何で中学校で放射線を教え始めるんだ!」というクレームが中学校や文科省に届いたとか。いや、震災の前に決まったことなんですが…
 で、ハザードマップの存在自体は中学校理科でも登場していますが、どうせ地域によってもなんのハザードのマップなのかによっても中身はまちまちなので、ハザードマップの読み取りは凡例を見て自分で考えてね、というのは中学でも高校でも同じなわけです。
 火山灰については中学1年でも九州の阿蘇山の噴火による火山灰が北海道まで飛んでいる図などが教科書に載っていますし、火山灰の範囲は火口から東側に伸びる、というのはそれなりに有名な話なのでなんとかいけるでしょう。あとは、聞きなれない、融雪型火山泥流とかいう言葉にビビらずに、熱が原因のものとそうでないもの、という違いに気づくかどうか、この思考力も中学生でもできる人はできるし、高校生でもできない人はできないのかな、と思います。

 融雪型火山泥流は,噴火などの熱が原因ですので、火砕流のような熱い部分から流れ出します。Pは火砕流やサージでない部分からも流れているので融雪型火山泥流ではなさそうです。火山灰と降雨により生じる土砂と水の混ざった流れというほうが妥当です。積雪期の融雪型火山泥流はQと考えられます。
 火口から出てきた火山灰は、偏西風に乗って、西から東に飛ばされます。すなわち、火山灰は火口から東側に降ることが多くなります。
 ④

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