1198 中学理科で解けるセンター試験2019化学基礎編

大学入試センター試験は、高校の学習内容をもとに出題されているわけですが、理科の基礎科目については、よくみると知識レベルは中学校の範囲だったりします。とすると、3年間の理科の知識が定着していて、かつ思考力をフル回転させれば中学生でもなんとかできてしまう問題は何問か紛れています。

2019年度のセンター試験からそんな問題を拾っていきましょう。
第2弾は化学基礎です。
molの概念が中学化学にはないので、中学生でもできるという問題は物理基礎ほど多くありません。

第1問

問4
実験室で塩素Clを発生させたところ,得られた気体には、不純物として塩化水素HClと水蒸気が含まれていた。図1に示すように,二つのガラス容器 (洗気びん)に濃硫酸および水を別々に入れ,順次この気体を通じることで不純物を取り除き,Cl2のみを得た。これらのガラス容器に入れた液体Aと液体 B,および気体を通じたことによるガラス容器内の水のpHの変化の組合せと して最も適当なものを,下の①-④のうちからーつ選べ。ただし. 濃硫酸は気体から水蒸気を除くために用いた。
 

 2つの液体で塩化水素HClと水蒸気を取り除きたいわけですが、液体Bが水だと、最終的に気体に水蒸気が混じったままになってしまいます。したがって、液体Aが水、液体Bが濃硫酸となります。
 また、水は塩化水素HClを吸収しますので、塩酸となり、酸性になり、ガラス容器内の水のpHは下がります。 正解 ④

問7
イオンからなる身のまわりの物質に関する次の記述(a・b)に当てはまるも のを下の①-⑤のうちから一つずつ選べ。
a 水に溶けると塩基性を示し、ベーキングパウダー(ふくらし粉)に主成分として含まれる。
b 水にも塩酸にもきわめて溶けにくく、胃のX線(レントゲン)撮影の造影剤に用いられる。
①塩化カルシウム ②炭酸水素ナトリウム ③炭酸ナトリウム ④炭酸カルシウム ⑤硫酸バリウム

a ベーキングパウダーの主成分といえば、重曹こと炭酸水素ナトリウムですね。
b よく胃カメラで「バリウムを飲む」といいますが、若い中高生はそんな検査しないか。でも、硫酸と水酸化バリウムの反応でできる硫酸バリウムが胃のX線撮影の造影剤に用いられる事を知っているかどうかは、中学教師の雑談力にかかっているかもしれません。(硫酸バリウムが造影剤に用いられることに触れている中学の教科書もありますが)。  正解 a…② b…⑤

問5 
実験の安全に関する記述として適当でないものを,次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 薬品のにおいをかぐときは,手で気体をあおぎよせる。
② 硝酸が手に付着したときは,直ちに大量の水で洗い流す。
③ 濃塩酸は,換気のよい場所で扱う。
④ 濃硫酸を希釈するときは,ビーカーに入れた濃硫酸に純水を注ぐ。
⑤ 液体の入った試験管を加熱するときは試験管の口を入のいない方に向ける。

①⑤はそのまま中学校の教科書レベル。②も硝酸という具体例ですが「薬品が手に付着したときは,直ちに大量の水で洗い流す。」というのも中学教科書レベル。
③は直接学習しませんが、もしこれが解答となると、「換気のよい場所で扱う 」ということが適当でないことになります。これは「換気の悪い場所で行わなければならない」ってことになるから、一般論としておかしいよね。
仮に、濃塩酸がわざわざ換気のよい場所で扱う必要がない物質だったとしても、換気のよい場所で扱ったからって安全上問題があるわけではありませんし。
④ 濃硫酸を希釈するときは,ビーカーに入れた純水に濃硫酸をガラス棒を伝わらせるなどして少しずつ注ぐのが安全なやり方。 ビーカーに入れた濃硫酸に純水を注いだら、加えた水が跳ねちゃいます。
正解 ④

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