1214 中学理科で解ける 共通テスト2023 化学基礎、生物基礎編

化学基礎

第1問

問4 分子からなる純物質Xの固体を大気圧のもとで加熱して、液体状態を経てすべて気体に変化させた。そのときの温度変化を模式的に図1に示す。A~E におけるXの状態や現象に関する記述ア~オにおいて正しいものはどれか。正しい組合せとして最も適当なものを後の①~⓪のうちからーつ選べ。
 
ア Aでは分子は熱運動していない。
イ Bでは液体と固体が共存している。
ウ Cでは分子は規則正しい配列を維持している。  
エ Dでは液体の表面だけでなく内部からも気体が発生している。
オ Eでは分子間の平均距離はCのときと変わらない。
①ア、イ  ②ア、ウ  ③ア、エ  ④ア、オ  ⑤イ、ウ
⑥イ、エ  ⑦イ、オ  ⑧ウ、エ  ⑨ウ、オ  ⓪エ、オ

中1の状態変化の内容ですね。
ア Aは固体ですが熱運動をしています。熱運動してなかったら絶対0度ですね。誤り。
イ 融点で固体から液体に変化しているところですね。これが正しい。
ウ Cは液体ですから、固体のように規則正しい配列を維持しているわけではありません。誤り。
エ 沸騰の状態です。正しい。
オ Eは気体、Cは液体ですが、分子間の平均距離は体積変化から考えても、気体の方が圧倒的に大きいので誤り。
ということで、イとエで

第2問

問1 下線部(a)に示したCrO42-に関する次の記述を読み、後の問い(a・b)に答えよ。
 この実験は水溶液が弱い酸性から中性の範囲で行う必要がある。強い酸性の水溶液中では次の式(1)に従ってCrO42-から二クロム酸イオンCr2O7が 生じる。
[ア]CrO42- + [イ]H+ → [ウ]Cr2O7 +  HO (1)
a 式(1)の係数[ア]~[ウ]に当てはまる数字を、後の①~⑨のうちから一つずつ選ぺ。ただし、係数が1の場合は①を選ぶこと。同じものを繰り返し選んでもよい。
 ①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5 ⑥6 ⑦7 ⑧8 ⑨9

化学反応式の係数合わせというのは、中2で学習しますが、好きな子はやたらはまって、どんどん複雑な化学反応式の係数を立てたくなります。
まず、H2Oに着目して、水素原子のかずから、[イ]は2で確定。次にCrの数から[ア]は[ウ]の2倍になります。[ア][ウ]の組み合わせで最もシンプルなのが2,1ですが、それを当てはめると酸素の数も電荷もそろってこれで完成となります。
[ア]② [イ]② [ウ]①

生物基礎

第2問

A
  「胆汁には脂肪の消化を助ける作用がある」と授業で学んだマオさんとナツさん はこの作用について調べることにした。

マオ:脂肪の分解は消化酵索のリパーゼが行っているから胆汁は脂肪を直接分解しているのではないということだね。胆汁はリノくーゼの作用に関 わっているのかもしれないね。
ナツ:実験して調べてみようよ。脂肪がリパーゼで分解されると脂肪酸がで きて反応液が酸性に傾くはずだから、この変化を検出する方法を考えればいいね。牛乳には脂肪が含まれているから、基質(酵素が作用する物質)に使えないかな。
マオ:牛乳にリトマスの粉末を溶かしたリトマスミルクというのがあるよ。リトマス紙と同じようにpHがアルカリ性から中性の範囲だと青色に酸性だと赤色になるんだ。アルカリ性・酸性の度合いが強くなるとそれぞれの色も濃くなるよ。
ナツ:リトマスミルク中の脂肪が分解されれば色が変化するはずだね。さっそく実験1をやってみよう。

実験1
試験管a~eを用意し、表1に従って、リトマスミルク、リパーゼ溶液、100℃で処理したリパーゼ溶液、蒸留水、 水分を除去して粉末にした胆汁(以下、胆汁の粉末)を、それぞれ該当する試験管に入れて、よく攪拌した。
37℃で1時問反応させた後、反応液の色調を観察したところ、図1のようであった。なお胆汁の粉末がリトマスミルクの色を直接変化させることはないものとする。
 
問1 実験1の操作および結果から、二人は次の結論1~3を得た。これらの結論を得るために二人が比較した試験管の組み合わせとして最も適当なものを後の①~⓪のうちからそれぞれ一つずつ選べ。
結論1:リパーゼには、脂肪を分解する作用がある。
結論2:リパーゼは、高温で処理すると作用しなくなる。
結論3:胆汁には、リパーゼによる脂肪の分解を助ける作用がある。
①a,b  ②a,c  ③a,d  ④a,e  ⑤b,c
⑥b,d  ⑦b,e  ⑧c,d  ⑨c,e  ⓪d,e

中2でやる唾液によるの実験を思い出しておこう。
結論1:リパーゼが、脂肪を分解することを確かめるので、「リパーゼあり+脂肪(リトマスミルク)」と「リパーゼなし+脂肪(リトマスミルク)」を比べればよい。リパーゼなしはb(代わりに水)かcだけど、cは100℃で処理したリパーゼ溶液とか関係ないものが絡んでいるのでアウト。bとリパーゼがある以外は同じ条件のdを選べばよい。  
結論2:リパーゼは、高温で処理すると作用しなくなるのだから、普通のリパーゼは作用しているものと(d)と100℃で処理したリパーゼ溶液(c)を比べればよい。 
結論3:胆汁には、リパーゼによる脂肪の分解を助ける作用がある。というのだからリパーゼ、リトマスミルクは共通で、胆汁アリ(e)とナシ(d)で比較すればよい。 

 ところでこの問題のストーリーでは、マオとナツが実験をそうやろうか計画する、つまり中学理科の全国学力調査でいう「構想」なわけです。そうすると例えばマオとナツが「リパーゼには脂肪を分解する作用がある」という仮説をたてて、それを確かめるために2本の試験管に何を入れればいいのかを考える(それを問う)のが筋なんじゃないでしょうか。ところが、「実験1」というできあがったパッケージが登場し(じゃあさっきの二人の実験の構想は何だったんだ?)、あまつさえ何のために作ったか意味不明なリトマスミルクの入ってない試験管(a)とかがまぎれているのはなぜなんだぜ?
 共通テストで問いたい「思考力」ってのはそういうものなんですかね?(挑発)

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