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1215 中学理科で解ける 共通テスト2023 地学基礎編

いよいよ得点源「地学基礎」の番です。
今年も快挙です。みんなで学ぼう地学基礎!

第1問

問1 次の文章中の[ア]に入れる数値として最も適当なものを後の①~④ のうちからーつ選べ。
 エラトステネスの方法にならって、X市に住むAさんはY市に住むBさんと共同で地球の大きさを求めることにした。X市とY市はほぼ南北に位置している。同じ日に太陽の南中高度を測定すると、Aさんは57.6°、Bさんは53. 1°という結果を得た。X市とY市はほぼ真っ直ぐの高速道路で結ばれている。そこでAさんはBさんを訪問するときに自動車の距離計で距離を測定したところ、550 kmであった。これらのデータから地球全周の長さを計算すると[ア]kmになった。実際の地球全周の長さよりは少 し長くなったが、近い値を得ることができた。
①10500  ②11000  ③42000  ④44000

南北で緯度の差が57.63-53.1=4.5°これが550kmに相当する。
4.5°: 550km = 360°: x km
X=44000km   (4点)

B 地層に関する次の文章を読み,後の問い(問3 ・問4)に答えよ。
互いに離れた地域Aと地域Bで地質調査を行い,次の図1に示すような地層 の柱状図を作成した。両地域でx とYの2枚の凝灰岩層が見つかり,それらを 鍵層として地域Aと地域Bの地層を対比した。なお,砂岩層と泥岩層はそれぞ れ異なる速さで堆積し,堆積の速さの変化や中断はなかったものとする。
 
問3 鍵層に適している地層の特徴の組合せとして最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。


問4 地域A と地域Bの地層の対比に関連して述べた次の文a ・bの正誤の組合せとして最も適当なものを,後の①~④のうちから一つ選べ。

a 凝灰岩層Xと凝灰岩層Yで挟まれる地層について,地域Bの砂岩層が 10m堆積するのにかかる時間は,地域Aの泥岩層が10 m堆積するのに かかる時間より長い。
b 地域Bの地層の堆積環境がわかれば,地層の対比にもとづき,地域A の地層の堆積環境も地域B と同じと推定できる。
 

問3 火山灰が積もってできる凝灰岩は、その噴火がいつ起こったのかという情報とあわせて、ちょうどこの地層ができた時がいつの時代だと特定することができるため、地層の年代を推定するカギになる層。つまり示準化石みたいなもの。
つまり流行りのあいつということで、広く短くというのがふさわしい。(3点)

問4 a 2つの地域で凝灰岩層Xと凝灰岩層Yはそれぞれ同時に堆積したわけだから、凝灰岩層Xが堆積してから凝灰岩層Yが堆積するまでの時間も当然同じ。にもかかわらず地域Bの方が凝灰岩層Xと凝灰岩層Yの間の層が厚いということは、地域Bの方が速く堆積したということ。つまり地域Bの砂岩層が 10m堆積するのにかかる時間は,地域Aの泥岩層が10 m堆積するのに かかる時間より短いということになる。 → 誤
b XY間の地層がAは泥岩でBは砂岩なのに、どうしてAとBの堆積環境が同じといえるのよ? → 誤  (3点)

問6 Nさんは、火山に関連する言葉をつないだ図を、A:火山の形,B:マグマの分類,C:マグマの粘性、D:マグマのSiO2量の四つの項目に着目して描いてみた(図3)。Nさんは,図を見直して、A~Dのうちの一つの項目について,言葉が上下入れ替わっていることに気づいた。どの項目の言葉を入れ替えると図3は正しくなるか。最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
 
①A  ②B  ③C  ④D

 お、これは珍しい、「検討・改善」の問題。小中理科の全国学力調査ではおなじみの出題形式ですが、センター試験、共通テスト通して初ではないでしょうか。さては出題者参考にしたな?
 昭和新山とキラウエア、前者はドーム状(溶岩ドーム)、後者は緩やかな傾斜(楯状火山)の代表選手ですね。そしてドーム状になるのはマグマの粘り気が大きく、緩やかな傾斜になるのはマグマの粘り気が小さいからでしたね。ということでCがおかしい。(3点)

第2問

A 地上天気図に関する次の問い(問1 )に答えよ。
問1 次の文章の[ア]・[イ]に入れる数値と語の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

 図1 に日本付近のある日の地上天気図を示す。日本付近は高気圧に覆われている。1020 hPaの等圧線に囲まれた高圧部の形や移動する速さ,方向が 変化しないと仮定すると,この高圧部の東端が東経140°を通過し始めてから西端が通過し終わるまでに,およそ[ア]時間かかる。高気圧は[イ]が卓越し、雲ができにくいため,この高圧部が通過するおよそ[ア]時間は晴天が続くと考えられる。

 この高圧部の東端が東経142°、西端が東経122°くらいでざっくり東西に経度20度分ある。図1下の説明で経度10度幅で900kmということは20度で1800km。そして東に移動する高圧部の速さが30km/h。ということは通過に1800km÷30km/h=60hかかる。
 また、高気圧なら下降気流で雲ができにくいというのは中2の知識。(4点)

B 黒潮に関する次の問い(問2)に答えよ。
問2 日本近海を流れる黒潮は,大量の暖かい海水を輸送し、その流路の付近では水温が高い。このことは,周辺の気象や海洋生物の分布に大きな影響を与えている。日本近海の年平均海面水温を次の図2に示す。図2を参考にし て,黒潮の典型的な流路の模式図として最も適当なものを,後の①~④のうちから一つ選べ。
 

これは知識不要の資料を読み取って考える問題。
基本的に北に行くほど水温は冷たく、南に行くほど高くなり、同じ緯度なら同じ温度と考えると、

この図の赤丸で囲った部分は、等温線がポコッとなっており、同じ緯度でもそこだけ暖かいということが分かる。つまりここを黒潮が通ったわけだ。そこを丁寧に拾ってつなげていくと、赤い線のようになる。  (3点)

第3問

問4 58ページの会話文中の下線部(b)に関連して,次の文章中の[カ]・ [キ]に入れる数値と語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

銀河系の円盤部は直径が[カ]光年ほどで,太陽系は円盤部の中に位置しており、地球からは円盤部の星々が帯状の天の川として見える。M31はアン ドロメダ銀河とも呼ばれる銀河で、地球からは天の川と異なる方向に見える。 図2は銀河系を真横から見た断面の模式図で,銀河系の中心とM31の中心はこの断面を含む面内にある。この図においてM31の方向は[キ]である。
 

 銀河系の直径が10万光年は中3の教科書にも載っている知識。そして「太陽系は円盤部の中に位置しており」「地球からは円盤部の星々が帯状の天の川として見える」ということは地球を含む太陽系から円盤部の方向であるBを見たら帯状の天の川が見えてしまう。ところがM31は地球からは天の川と異なる方向に見える、というのだから方向Bではないということだから、「銀河系から見たM31の方向は、方向Aまたは方向Bである。」という条件と合わせれば、方向Aしかない。(4点)

第4問

日本列島の地学的な特徴により,私たちはさまざまな自然災害をこうむる ことがある一方,多くの恵みも受けている。このような自然の恵みに関する次の問い(問1~3)に答えよ。

問1 日本は火山の多い国である。日本の火山とその恵みについて述べた文として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
①マグマ活動に伴う熱水が金属成分を多く含んで上昇すると,鉱物資源をもたらす。
②石炭などの化石燃料は. 過去のマグマ活動により生成されたものである。
③火山近くの温泉は,マグマを熱源として地下水が温められたものである。
④火山地域で開発が進められている地熱発電は,マグマの熱エネルギーを利用している。

問3 日本は世界的にみて降水量が多く,その豊かな降水量は生活用水や農工業用水,水力発電など水資源として幅広く利用される。この降水をもたらす気象現象の説明として誤っているものを,下線部に注意して,次の①-④のうちから一つ選べ。
①梅雨前線はオホーツク海高気圧と北太平洋高気圧の間にできる温暖前線で,長期間にわたって降水をもたらす。
②台風は活発な積乱雲を伴い,多量の降水をもたらす。
③温帯低気圧では、暖気と寒気の境に温暖前線や寒冷前線が形成され,降水をもたらす。
④冬季の季節風に伴い,日本海で大気に大量の水蒸気が供給され,日本海側に大量の降雪をもたらす。

問1 化石燃料は長年かけてプランクトンなどの死骸が蓄積されて変化してできたもの。
 ただし、中学校を超えたレベルのツッコミになるけど、その「変化」がバクテリアの分解のほかに地熱も絡んでいるので「過去のマグマ活動」と無関係とまで言い切れるかというと少々微妙な気もする。とはいえほかの選択肢はツッコミようがないのでいいんだけれど。(4点)

問3 梅雨前線は停滞前線だよね。停滞しているからその地域で長期間にわたって降水をもたらすんだもん。中2の知識。(3点)

 今年は15問中9問、50点中31点ということで、物理基礎、地学基礎で選択すれば中学校の知識と思考力だけで半分以上とれました。もっともそれだけ中学校の理科がしっかりしてれば理系に進んで理科①では受験しないかもしれませんが…。
 それではまた来年、中学理科で解ける 共通テスト2024 でお会いしましょう。

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