0669 【気象観測02】気象要素2 気圧とは、その前に圧力とは
気象要素の一つである気圧。「大気の圧力」ということですが、そもそも圧力とは何でしょう。
ここで唐突に質問
片方を削った鉛筆を両側から押してみましょう。指の痛さに違いがあるのはなぜだろうか。
三角フラスコに水を入れて、スポンジに載せます。ふつうに置いたときはスポンジはほとんど凹みませんが、三角フラスコをさかさまに置くと、スポンジが大きくへこみます。これはどういうことでしょうか。
三角フラスコをさかさまにしようが重力は変わりません。
しかし、普通に置いたときは、三角フラスコの重力を広い底面でうけているので、力が分散されます。
これに対し、さかさまに置いたときは、三角フラスコの重力を狭いゴム栓でうけているので、力が集中しているのです。
この、力の分散・集中具合こそが、圧力なのです。
これを数量として扱えるようにするにはどうすればよいか。
1年生の時、密度について学習したと思います。
100gの綿も、100gの鉄も同じ質量です。でも、綿の体積は大きく、鉄の体積は小さい。ということは、綿は100gの質量が大きい体積の中に分散している、鉄は100gの質量が小さい体積に集中している。これが綿の密度は小さく、鉄の密度が大きいということで、時には「綿は軽く、鉄は重い」といわれるのも密度のことを言っているわけです。
なんか、今回の圧力の話と似ていませんか。
質量--力
体積--面積
密度--圧力
こんな対応がわかるでしょうか。
そうすると密度の公式は
物質の質量
密度= ーーーーーーーーーーーーー
物質の体積
ですから、圧力は
力の大きさ
圧力= ーーーーーーーーーーーーー
面積
となるわけです。
いうなれば、圧力って「力の密度」みたいなものなのです。
単位の話もしておきましょう。力の単位は、ニュートン(N)です。日常生活にはなじみの薄い単位です。
面積の単位は平方メートル(m2)ですが、これが意外に曲者です。というのも、圧力をこの公式を用いて計算する際、面積は1m2よりはるかに小さいことが多いので0.01m2みたいになり、さらにその値で割り算するので、計算に苦手意識を持つ人には結構心理的負担が大きいのです。このケースの処方として、分数を使うという方法があります。
そして、1Nで1m2の時の圧力が1パスカル(Pa)です。
かくして、圧力の公式は次のようになります。
力の大きさ(N)
圧力(Pa)= ーーーーーーーーーーーーー
面積(m2)
では、試しに計算をしてみましょう。
「象が踏んでもこわれない…」のキャッチコピーで有名な筆入れがありますが、ゾウが踏んだ時の圧力って、どれくらいなのでしょうか。
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計算しやすいように、ゾウの重さを4000kg、ゾウの足の裏の面積を1本につき1000cm2で、4本足で立っているとします。
そうすると、力は4000kgなので40000N、足の面積は4本で4000cm2、これをm2に換算しなくてはなりません。1m2=10000cm2ですから、4000cm2は0.4m2です。
したがって 40000N÷0.4m2=100000Pa(10万Pa) となります。桁数が多く、また、桁が違っても違和感をもちにくい(たとえばミカンの値段が300円とかいうと、30円の間違いでは?疑いますよね、でもこの問題で10000Paや100万Paとなってもおかしいとは思いにくい)
では、体重40kgの人にハイヒールのかかと(断面積2cm2)で踏まれたときはどうでしょう。
40kg⇒400N 2cm2⇒2/10000 m2ですから、
400N÷(2/10000)m2=2000000Pa(200万Pa)です。
つまり、ゾウに踏まれるよりもざっと20倍もの圧力がかかるわけです。
ということで、例の筆入れ、象が踏んでもこわれなくても、ハイヒールに踏まれると壊れるかもしれません…。
もう一つ、掲示板などを画びょうで刺しますが、押す力を10Nとし、画びょうの針の面積を1mm2とすると、圧力はどうなるでしょうか。
力は10N 面積は1/10002 m2 で、1000万Pa そりゃ板の中にめり込みますわな。
こんなふうに、計算式自体はシンプルですが、面積をm2にするとき、さらにその面積で割るとき、桁数も多いことからミスしやすいですので、十分に気を付けましょう。
ここで唐突に再質問
片方を削った鉛筆を両側から押してみましょう。指の痛さに違いがあるのはなぜだろうか。
最初の答えとどう変わったか比べてみよう。その違いこそがあなたが圧力を学習して成長した証しなのですよ。。。
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