今日のお便りは沖縄県のY先生から。
小学4年生に台風の渦の巻き方が北半球と南半球で違う理由を教えてほしいと言われたのですが上手い説明が思いつきません・・コリオリ力を小学生にも分かりやすく・・・何か良い説明の仕方があればアドバイスをいただけたら嬉しいです。
うん、難しいですね。
コリオリ力や遠心力のような「見かけの力」を理解するのは小学生では難しいと思います。
30年以上前に、マルトモのクラゲのCMで「コリコリがわかれば、もう大人よ」という名台詞がありましたが(さすがに動画は見つかりませんでした…)、それに倣えば「コリオリがわかれば、もう大人よ」と言っていいくらい、子どもには難しいのではないでしょうか。
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いや、大人でさえ「理科とか苦手で…」と尻込みしそうな人なら、ジャイアニズム的主張というか、一種の方便に近いものに感じるかもしれません。
で、いつも台風や低気圧、高気圧などが渦を巻く理由を説明するときに、みなさん、「コリオリ力」というキーワードが出てくるのですが、そのコリオリ力が難しいんだから、コリオリ力を使わないで説明すればいいのに。
そもそもコリオリ力は、本来動いているはずの地球上の観測者が、「あくまでも自分は動いていない(力が働いていない)」と言い這って譲らないときに、台風の渦巻きなどの変わった現象を説明をする(つじつまを合わせる)ために必要になってくる「見かけの力」。それならばコリオリ力を導入しなくていい地球の外から観測している立場(いわゆる神様の視点)で考えればいーじゃない。
ということで、こんな説明をしてみます。
北半球で同一経度の3つの点を考え、北からABCとします。で、地球は西から東へ自転しているので、時間がたつと東に動いてしまいます。そして、同じ時間でも東に移動した長さはBに比べ、北のAは短く、南のCは長くなります。
そして、AとCのそれぞれからBにボールを投げます。つまりAは北から南へ、Cは南から北へ投げます。しかし飛んでいるボールも地球の自転とともに東へも移動しています。
Aが北から南へ投げてきたボールが東へ移動する速さは、Bが東へ移動する速さよりも遅いです。すると、Aからのボールは最初は確かにBに向けて投げたものの、Bより西側にボールは飛んできます。
Cが南から北へ投げてきたボールが東へ移動する速さは、Bが東へ移動する速さよりも速いです。すると、Cからのボールは最初は確かにBに向けて投げたものの、Bより東側にボールは飛んでくるのです。
つまり、北から南へ行こうとすると西側へそれて南西方向へ、南から北へ行こうとすると東側にそれて北東方向へズレるわけです。
そうすると、低気圧の渦の向きと同じになりますね。
次に南半球ですが…さすればあとは分かるな、勇者よ。
小学生向けには南北だけの説明で十分ですが、東西方向ではどうでしょうか。
図のように東西に並んだDEFの3点でDとFからぞれぞれEに向かってボールを投げたら、果たしてまっすぐ進むのでしょうか。
たしかに、DEFの3点は同じ速度で東に進むわけですが…。
投げられたボールはさにあらず。Dが西から東に投げたボールは、地球が自転する速度よりも速いです。逆に、Fが東から西に投げたボールは、地球が自転する速度よりも遅くなります。
ところでこのボールは宇宙へは飛び出さず、等速円運動をしています、これは向心力(重力)で引っ張られているからですね。
そして向心力の大きさは、回転速度が速いほど大きい。つまりDからのボールは大きく、Fからのボールは小さい。
そしてその向きは地球の中心への向きだけど、水平方向でみれば、北半球なら南側ということになります。
つまり、向心力の大きいDからのボールは地球の中心に近い南側へ、相対的に向心力の小さいFからのボールは地球の中心から遠ざかる北側へズレます。
つまり西から東へ行こうとすると南側へそれて南東方向へ、東から西へ行こうとすると北側にそれて北西方向へズレるわけです。
そうすると、低気圧の渦の向きと同じになりますね。
したがって、北半球ではこうなるわけです。
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