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0732 【天気の変化15】前線の通過と天気の変化8 温帯低気圧の一生

 ということで前線について学習してきたわけですが、今まで見た天気図もそうだったのですが、前線と低気圧がくっついているケースをよく見かけます。前線だけ、低気圧だけというのもあるのですが、高気圧とはくっついているケースはなかったですね。

 低気圧と前線にはどのような関係があるのでしょうか。それは低気圧の一生をみるとわかってきそうです。

 ただしここで、一つちょっとややこしい話を。
 「周囲より気圧が低いところ」という意味での「低気圧」には、低気圧が発生した場所によって、「熱帯低気圧」と「温帯低気圧」などに分類されます。
他にも、亜熱帯低気圧や北極低気圧、極低気圧(ポーラーロウ)がありますが、詳しくはこちらへ。
 温帯の日本付近では、熱帯低気圧もたまに来ることもあるのですが、基本的には温帯低気圧です。だから、日本付近の天気図などをみるとき、熱帯低気圧はちゃんと「熱帯低気圧」というのですが、温帯低気圧は、単に「低気圧」と呼ばれます。
 つまり、「低気圧」という言葉には、
 「周囲より気圧が低いところ」という広い意味と、
 「温帯低気圧」という狭い意味の二つの使われ方があるのです。ややこしいですね。

 で、ここで話題にするのは温帯低気圧に限った話です。熱帯低気圧についてはまたそのうち取り上げます。

 温帯低気圧は南側の暖かい空気と北側の冷たい空気の温度差がポイントです。

西側にある停滞前線に注目しましょう。

寒気と暖気が接していているので、その境には前線が発生します。
ただしこの段階では、寒気と暖気が流れている方向は逆向きで、勢力がほとんど変わらないため、停滞前線で済んでいます。

お、前線の曲がったところで低気圧ができましたね。
前線が波打ち始め、その中心地に渦(低気圧)ができます。

低気圧の中心がちょっと東に行っていますが、

反時計回りの渦巻きにより、温帯低気圧の東側では南風が暖かい空気を運びながら上昇し、 西側では北風が冷たい空気を運びながら下降します。

つまりそれって温暖前線と寒冷前線ということですよ。
かくして、よくみかける温暖前線と寒冷前線になりました。

 つまり温帯低気圧という現象は、密度の大きい寒気と小さい暖気が横に並んでいる不安定な状態を、なんとか下が寒気、上が暖気という安定な状態になろうとすることです。寒気と暖気の温度差が温帯低気圧の原動力というかエネルギーなわけですね。
 密度の大きい(=質量の大きい)寒気が上側にあって不安定なのが下に落ちることで、寒気の持っていた位置エネルギーが運動エネルギーに変え、温帯低気圧は動いていくわけです。

ちなみに温暖前線の前にある寒気は北東の風だとか、暖気の風向は南西だとか寒冷前線の後ろの寒気だと風向は北西だとか書かれているものもあります。たしかに低気圧に吹き込む風の流れからすればそうなのですが、気象現象は要因が多くて複雑なので教科書通りにならないことだって多いって何度言ったらわかるの!

 それはさておき、温度差が温帯低気圧のエネルギーということはですよ、
 あ、温暖前線が寒冷前線に追いつかれて、閉塞前線ができました。

寒冷前線がちょっと短くなりましたね。
ってことはどうでもいいのですが、閉塞前線ってことはもう下は寒気、上は暖気という目的を達成したということですから

あら、前線が消えちゃいました。
そう、寒気同士の境目がなくなっちゃった。もっというと、温帯低気圧のエネルギー源の温度差がなくなっちゃった。

つまりこの低気圧はこれから衰退していくわけですね。
このあと12日18時までしぶとく居座っていましたが、21時にとうとう天気図から消えました。


温帯低気圧は寒気と暖気の温度差があってできる。そして寒気と暖気の境目に前線はできる。なので温帯低気圧に前線はつきものなのですね。 

○ッテンしていただけましたでしょうか?

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