0847 理科教師のための作問入門(19) CBT時代に向けて

 GIGAスクール構想だとか、一人一台端末だとか、なんかすごい勢いで学校や教育がICTがらみで変わってきていますよね。授業も全員がそれぞれに端末をもって教科書代わりにしたり、実験結果を記録したり、考えとまとめたり…と、大きく変わりました。

 では、試験は?これが意外に昔ながらの紙と鉛筆(シャーペン)のまま変わっていない学校も多いのではないでしょうか。授業などでこれだけICTをバンバン使っているのに、意外なことです。
 …と思ったけど、電卓つきの腕時計(って今もあるのかな)が持ち込み禁止の試験も多いのにスマートホンやタブレットやノートパソコンを持ち込もうものなら、わからなかったら検索したり、どこかと通信したり、AIに解かせたりして、不正行為のオンパレードになりそう。意外でも何でもないですね。

 でも、せっかく一人一台端末があるのに、それを試験に活用できないのはどうなのよと。ICTを使ってテストとかやれば、採点も早そうだし、いろいろできそうじゃない、と、作る側の苦労を知らないドリーマーの方々は思うわけですよ。で、そういう方の中にはお金とか権力とか持ってていて、現場の下っ端リアリストにムチャ振りしてICTを活用したテストのシステムや問題を作らせようとするわけですよ。当然のことですが、作問するの下っ端リアリストの苦労はドリーマーの方々はご存じありません。
 …で、その下っ端リアリストってのが私ってわけ… orz

 さて、こういうICTを使ったテストをCBT(Computer Based Testing)というのに対し、昔ながらの紙と鉛筆のテストをPBT(Paper Based Testing)といいます。
 ここまで本シリーズで話してきたことはPBTを前提にしていました。が、CBTになると、一部の話が通じなくなることが考えられます。
 たとえば前回、チェーン問題ではある問題の存在が別の問題のヒントになってしまうため、そのヒントがなくても正解できたのか、ヒントを使って正解したのか区別がつかないので、学力の測定という意味では避けた方がよい、という話がありましたが、CBTではログを取ることでその区別が可能になるため、理屈の上では、むしろ細かく学力を測定できます。
 「理屈の上では」、と限定をかけたのは実際にそのログを解析して、どっちのパターンかを判断することを受験者数分やるのは、現在の技術(とかけられるコスト)では厳しいですからね。

 他にもCBTではPBTに比べてできることがたくさんある一方で、PBTでは起こりえなかった困ったことも考えられる可能性は十分に考えられます。

 これからのテストの形として出てくるCBTを中学校理科で、どうやっていくのか。私の所属しているチームで問題を作成しながら研究しています。現段階では詳しいこと、具体的なことはお話しできないのですが。

 ただ、これは言えるし、言っておきたい。「理科における資質・能力を見取る」という、テストの本来の目的はPBTでもCBTでも変わらないよね。そこんとこヨロシク

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