原子や分子の話をしてきましたが、話を化学変化に戻しましょう。
炭酸水素ナトリウム、酸化銀、水と分解してきました。
分解とは1つの物質が2つ以上の物質になる化学変化をさします。
では、分解とは逆に、2つの物質から1つの物質をつくれないでしょうか。
銅の板に
硫黄の粉をのせて1日置いておきます。
銅の上の硫黄を取り除くと、硫黄のあったところが黒くなっています。
この黒い部分は銅と硫黄が結びついてできた硫化銅といわれる物質です。
このような2つの物質から1つの物質をつくる化学変化を「化合」と言っていたのですが、この用語は粛清され、令和3年度版の中学教科書には表立って登場しません。なお、化合物はセーフです。
では、同じように鉄と硫黄は結びつけるとどうなるのでしょうか。
課題:硫黄と鉄を結び付けるとどうなるだろうか
鉄粉3.5gと硫黄2.0gをとります。
これらを乳鉢でよく混ぜまず。
混ぜたものを2本の試験管A,Bに分けて入れます。(Aを多めにしています)
試験管Aの口に脱脂綿(5cm四方のカット面を8つ折りにして栓がわりにしたもの)をつめました。
試験管Aの粉末の上部をガスバーナーで加熱しますが、赤くなったら火を止めます。
火を止めても、鉄と硫黄が結びつく化学変化によって熱が発生して赤くなります。それだけあつければ、その熱で隣の未反応の硫黄と鉄が結びつきます。その時にまた熱が発生し…とやがて全部結びついてしまうのです。
試験管Aに入っていたものが黒くなりました。
一方、試験管Bには何もしません。
さあ、ここで試験管AとBの中身を比べてみましょう。
その1・磁石に近づけてみる。
試験管Aは磁石に引き寄せられました。中に鉄が入っているからですね。
ところが試験管Bは磁石につきませんでした。
その2.少量とり、塩酸を1,2滴たらしてみる
試験管Aは、鉄に塩酸なので、溶けて水素が発生します。水素ですから臭いはありません。
試験管Bでも気体が発生します。…が、卵の腐ったにおいがします。これは有害なガスですので、たくさん吸わないようにしましょう。
試験管A,Bに、磁石を近づけるとか塩酸をたらすとか同じことをやったのに、違う結果となりました。
違う結果となったのは、試験管A,Bに入っていた物質の性質が違うから。
試験管A,Bに入っていた物質の性質が違うのは試験管A,Bに入っていた物質が違うから。
硫黄と鉄が結びついて違う物質になったのです。
※AとBに同じことをして違う結果になったことで、AとBは違う物質だともっていく考察は炭酸水素ナトリウムの熱分解でもやりましたね。加熱後の試験管に残った白い粉が、加熱前の炭酸水素ナトリウムと同じなのかを調べるために(実際は「違うことを証明するために」ですが…)、水に溶かしたり、フェノールフタレインを加えたりして違った結果を引き出し、そこから加熱後の試験管に残った白い粉は、加熱前の炭酸水素ナトリウムではないと考察していました。違う結果を引き出すための操作は違えど、まったく同じロジックです。
結論:硫黄と鉄を結び付けると鉄でも硫黄でもない物質ができる。
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