それでは、今日作りたい、水の電気分解の化学反応式の完成版が、これです。
2H2O → 2H2 + O2
これがどんなことを意味しているのか、見当がつきますか。
H2O、H2、O2 はわかりますね。
矢印と+の意味もご推察の通りです。
水 が変化して(→) 水素 と(+) 酸素 になった、ということですね。
問題は、2H2O 2H2 の 2 です。
この2は「係数」といって、H2O や H2 が2個ある,という意味です。
おわかりだと思いますが、数学の文字式でやる2xとか3yとかの2や3です。だからただH2O だと1個の意味で、わざわざ1H2Oと書きません。(数学でも1xとか書かないでしょう?)
ここまで説明をしたところで、もう一度化学反応式を見てみましょう。
2H2O → 2H2 + O2
これ、原子・分子のモデルで表すと、こうなります。
矢印の左右(化学変化の前と後)での水素原子の数、酸素原子の数をそれぞれ数えて,何かを悟ってください。
水素原子、酸素原子ともに「増えない、減らない、変わらない」でしたね。
こうなるように H2O や H2 の頭に2をつけて調整したのです。
では、どうやって H2O や H2 の頭に2をつけるなど、いい感じに調整することを思いつけたのか。これが化学反応式の書き方の核心です。
ということでいよいよ化学反応式の作り方。
慣れてきたらステップをいちいち書かずに飛ばしてかまいません。
1. 反応前の物質 → 反応後の物質 を書く。
水 → 水素 + 酸素
2.物質名を化学式に直す。(ここで書いた化学式は、この後一切書き換えたりしません)
H2O → H2 + O2
3.原子のモデルでも表し、反応前と反応後それぞれで原子の種類と数を調べる。
水素原子2個 → 水素原子2個
酸素原子1個 → 酸素原子2個
4.化学式をセットで加えて、反応前と反応後それぞれで原子の種類と数がすべてそろうように調整する。
① 酸素原子の数が反応前は1個だけど反応後は2個でそろっていないので、2個にそろえよう。
② 反応前の方に酸素原子を1個加えたいけれど、それにはH2Oセットで1個加えることになる(酸素原子1個だけのバラ売り不可)。
③ そうすると酸素原子は反応前も反応後もニコニコなのですが、水素原子は反応前4個、反応後2個と,今度はこっちがそろわなくなってしまいました。
④ でも大丈夫、反応後の方で水素分子H2を1個加えれば、反応後も4個となります。反応前も後も水素原子4個、酸素原子2個なので、整いました!
5.係数として化学式の前につけて、化学反応式完成!
2H2O → 2H2 + O2
では、酸化銀Ag2O が熱分解されて酸素と銀になる化学変化を化学反応式で表してみましょう。どうぞ!
(ヒント:酸素と銀、どちらも数がそろっていませんが、銀の数をそろえようとしても結局酸素の数をそろえ、そのあと銀の数をそろえることになるので、最初から酸素の数をそろえに行った方が早いです。
…この意味、化学反応式を立ててみると分かります。
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