0697 「晴れ」と判断した理由
ある中学校の先生からのご質問です。
テストで、こんな問題を出題しました。
このグラフのは2日間にわたる気温の変化を表したグラフです。
(1)1日目と2日目で晴れていたのはどちらですか。
→正解:1日目
(2)またその理由を答えなさい。
→正解例:一日目は昼過ぎに気温が最高になり、一日の気温の変化が大きいから。
この(2)で「1日目のほうが最高気温が高いから」という答えた生徒がいるのですが、これは晴れと判断とした理由として適切ですか?
たしかに、季節の違う1日の気温のグラフ(たとえば「夏の曇りの日」と「冬の晴れた日」)では、最高気温だけでは判断できないと思いますが、出題したグラフは連続した2日間の気温の変化なので、最高気温で判断してもいいのかな、と思いました。
晴れと判断した理由として「1日目の方が最高気温が高いから」は一応は○マル○と考えます。
ご存じのように、晴れの日は雲がじゃましない分だけ、地面や空気をよく暖めます。したがって晴れの日が気温上昇が大きくなりますから、最高気温も高くなります。
ちなみに「1日目の方が温度上昇が大きい」=「1日目の方が最高気温が高い」とするのは、1日目と2日目の最低気温が同じでないと成り立ちません。そう思って1日目と2日目の最低気温をみると、どちらも9℃とそろっています。うまくできていますね(そこまで気づいている生徒は絶対にいないと思いますが…)。
そうすると、より正確には「1日目も2日目も最低気温は同じなのに、1日目の方が最高気温が高いから」と書くべきですが、そこまで中学生に求めるのは、少々酷ではないかと思います(思わなければ、△や×という判断もあるかもしれません)。それに、それは「1日の気温変化が大きい」ことを別の表現に過ぎません。だったら、素直に「1日の気温変化が大きいから」というシンプルな正解を書くでしょう。
もし1日目と2日目の最低気温が違ったら、というケースは、さらにややこしいので今日は考えないことにします。
また、その先生は
私としては、生徒に、晴れている日は、「昼過ぎ(14時頃)に最高気温になること」と「1日の気温変化が大きい」ということはしっかりおさえていて欲しいです。
という希望をお持ちです。まさにそのとおりですね。
ただ、この問題の答えという意味では、曇りの日でも昼過ぎに最高気温になる場合もある(ならない場合もある)ため、単に「昼過ぎに最高気温になった」ということだけでは、その日が晴れた証拠にはならないことも注意しましょう。逆に、最高気温にはふれず「1日目の方が1日の気温変化が大きいから」という答えも、晴れの日の最高気温についてもおさえてほしいという先生の意図からみると、不十分かもしれませんが、晴れかくもりかの判断としては必要十分ともいえるので、○にせざるを得ません(1日の気温変化が大きいのに、昼過ぎ以外が最高気温になる、というような例外的なことは起こらないという前提で)。
意地悪して曇りの日も「たまたま」昼過ぎに最高気温になるグラフだったりすると、「昼過ぎに最高気温になったから」と書いた生徒には心おきなく×バツ×がつけられます。(足下をすくわれないように最低気温はそろえておきましょう)。
なお、「1日の気温変化が大きい」ということにふれた答えがほしい場合、「気温の変化に注目して理由を説明しなさい。」などと問題文を工夫してみる方法があります。でもここでは気温の変化という着眼点に気づくかという点をみたいんだ、という先生もいて(私もその一人です)、そこをもろ書きしたらバレバレになってつまらなくなってしまうのが悔しいところですね。
ただのグラフから判断する問題と思いきや、何か非常に論理的な、深い問題をはらんでいました。合掌。
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