今日は、ヨウ素液を作ってみましょう。
ヨウ化カリウム
ヨウ化カリウム KI Mw=166.0 CAS No.7681-11-0
光により 変質するおそれがある。
白色の結晶~結晶性粉末です
右の写真では相当古い薬品瓶だったのでヨウ素が遊離してちょっと黄色くなっています。
で、このヨウ化カリウム2gを100mLの水に溶かします。ちなみにこの時の水は水道水を使うと、溶けている塩素がヨウ素と競合して、色が抜けてしまうことがあるので、精製水を使いましょう。
次にこのヨウ化カリウム水溶液にヨウ素1gを溶かします。
ヨウ素 I2 CAS No. 7553-56-2
劇物
ヨウ素は水にはあまり溶けません。しかし、ヨウ化カリウム水溶液にはよく溶けるのです。
これはヨウ化カリウム水溶液中に存在するヨウ化物イオンI-によるものです。
I- + I2 → I3-
となって、ヨウ素の単体I2が溶けて、つまりイオンになってくれるわけですね。
ちなみにヨウ素デンプン反応は、このI3–イオンがらせん状のデンプン分子のすき間にうっかり入り込んだクラスレート化合物(包接化合物)になることで呈色します。もっと詳しいことは矢島博文「ヨウ素デンプン反応の発色のしくみ(ヘッドライン:ヨウ素の化学) 」化学と教育63 巻 (2015) 5 号 p. 228-231をどうぞ。
できたヨウ素液は、光に当たると分解してヨウ素が遊離してしまうので、褐色の瓶に入れ、光の当たらないところに保存します。
ヨウ素デンプン反応に用いるときは,「ビールの色程度」(「紅茶の色」という人もいる)の濃度だときれいな色になるといわれています。
なお、この色はI3- によるものです。
ヨウ素液の色を消す
さて、このヨウ素液に、チオ硫酸ナトリウム五水和物 を加えるとヨウ素液の色が消えるのです。
チオ硫酸ナトリウム五水和物 とは…
Na2S2O3・5H2O CAS No.10102-17-7(無水物:7772-98-7)
ハイポ(HIPO)とも呼ばれる。
実際にやってみましょう。
ものの見事に色が消えました。
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