1617 ペットボトルで雲を作る(フィズキーパーを使わない方法)

 もともと、「気象とその変化」の単元では、観察・実験が少なめです。そのためペットボトルで雲を作る実験は、貴重な存在です。それ専用の教材も市販されています。それだけでなく、一瞬で雲ができるので、生徒の間でも何度も繰り返してやりたがる実験です。
 ところで、この実験をやっているのは中学校だけではありません。
 小学校以下の子供とその親向けを対象とするような、お天気イベントや科学イベントでの「お天気教室」でも、手軽にできる天気にまつわる実験として重宝されています。

 そしてその材料として、ペットボトルは、炭酸飲料を飲めばすぐに手に入り、大量に必要とするのでなければそれほど高いものではありません。しかしフィズキーパーは最安値でも1個300円なので、作った雲のできるペットボトルを子供に持ち帰らせるということが、費用的に難しくなってきます。
 そのため、フィズキーパーなしで、雲を発生させるペットボトルはできないかというニーズがありました。

 雲を作るには、空気を膨張させて温度を下げる必要があります。ペットボトルの場合はいったん強く押して収縮させてから、手を放してペットボトルの形が戻るとき、膨張することになるので、温度が下がって雲ができる、というやり方が考えられます。
だとすると

①500mLの炭酸ペットボトルに少量のぬるま湯を入れる
②ペットボトルにお線香の煙を入れる
③ペットボトルにふたをする
④ペットボトルを押して強く凹ませる
⑤ペットボトルを押すのをやめ、形が戻るときに雲ができる

という方法が考えられますし、実際このやりかたを紹介しているところは一応はあります。ただ、より確実に、はっきり雲ができるようなやり方が2つ、世に出回っています。

その1 1.5Lや2Lの大型のペットボトルを使い、派手に体積変化させて雲を作る
 サントリーHONDA神戸市水道局 は、この方法を採用しています。

その2 水の代わりに雲ができやすいエタノール(消毒用のでOK)を使う。雲粒としては、アルコールなので火気厳禁ということで火のついた線香が使えない。そのため、スプレーを利用する。
 日本ガイシベネッセ保育士バンク!チャンネル は、この方法を採用しています。


写真ではペットボトルの表面で光の反射もあり、雲の有無が分かりづらいのですが、おわかりいただけただろうか。左が押したとき(雲がない)、右が戻ったとき(雲ができている)


2つの方法を比較してみよう。

その1は、大きなペットボトルでダイナミックに実験ができます。一人で自由研究などするにはうってつけですが、たくさんの子供が来る実験教室などで1.5Lや2Lのボトルでやろうとすると、ボトルが結構かさばるという準備上の難点があり、作ったボトルを子供がお持ち帰りできる、というのはちょっと難しいかもしれません。(持ち帰るのも邪魔になって親御さんが微妙に思いそう…)

その2は、コンパクトな500mLのペットボトルですからたくさんあってもそれほど場所を取らないというメリットがあります。しかし、雲の成分が水ではなくエタノールですので、ちょっと邪道というかニセモノな感じもします。火気にも注意したいところです。


左が押したとき(雲がない)、右が戻ったとき(雲ができている)。ボトルの向こうにあるデジタル温度計の数字で両者の違いが判るかと思います。

ということで個人で自由研究などをするのだったらその1、授業や実験教室や一人1台お持ち帰りなどするのだったらその2かなと。

動画がいちばんわかりやすい

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