0720 【天気の変化09】前線の通過と天気の変化2 気圧と風

気圧は大気(空気)の圧力です、気圧が違う場所があれば、気圧が高い方から低い方へ、空気は動きそうです。
空気の動きとは何でしょう?風ですね。
気圧と風の関係はどうなっているのでしょうか。

課題:等圧線と風、高気圧・低気圧と風の関係はどうなっているのだろうか

 これは実際のデータをあちこち眺めて見つけてもらうのが良いと思います。
またそれにうってつけのサイトがあるんですよ。windyというサイトなんですがね。いろいろいじりがいのあるサイトです。
 なので、つい課題を忘れていろいろ見たくなりますが、等圧線と風、高気圧・低気圧と風の関係にしぼってみていきましょう。
 ただし、現実の気象の世界はコントロールできない要因も多く、いろいろ複雑なので、例えば数学の定理のように一つでも例外があると認められない!としてしまうと、何も言えなくなってしまいます。それはもったいない。例外もあるけど、こういう傾向があるよ、こうなっていることが多かったよ、というので結構です。そこが地学のアバウトさであり、そして寛容さ、奥深さ、面白さでもあるのですから…。

等圧線と風の関係

等圧線の間隔が狭いほど風が強い

windyの画像を使っています。
 風の強さを色で表わしているんだけど、風の強いところ(赤や橙)のところは等圧線の間隔が狭いです。一方、風の弱いところ(青)では感覚が開いていますね。
 ある場所の空気が密なのに、スカスカの場所があったら、空気の一部は密なところからすいているところへ移動して均一化しようとします。その空気の動きこそが風です。
 等圧線の間隔が狭いということは、すぐ近くにスカスカな場所があるということ。これならすぐに移動したくなります。ところが、遠いところにそれほど今よりもスカスカでないところがあっても、あまり移動したいとは思いません。等圧線の間隔が広いところでは、空気はあまり移動しない、風が弱いのです。

 これは中学では習わないけど、気圧傾度というやつです。気圧の傾きということですから、気圧の変化量⊿Pを距離⊿nで割った⊿P/⊿nが気圧傾度になります。前回の気圧の断面図を使うと、次の図の高気圧付近のXの部分では気圧傾度が小さく風が弱い、低気圧付近のYの部分では気圧傾度が大きく風が強いというわけです。

風の流れは等圧線に沿って流れる

windyの画像を使っています。
 これはちょっと意外に思う人もいるかもしれません。(というか初学者には思ってほしい)
 というのも、気圧は高いところから低いところへ流れる、とすると等圧線と風の関係は、単純に考えてこうなるはずです。

 そう、等圧線と風は垂直に交わって然るべきなのです。
 風が等圧線に沿って(平行に)吹く、ということは気圧差がないのに風が吹く、ということです。
 さすがに完全に平行、というわけではなく、傾きを持っていますが、それでも、どちらかといえば垂直より平行に近い、風が等圧線と45°以下の角度で交わっている場所は45°より大きい角度で交わっている場所よりも圧倒的に多いです。
 これは、中学生向けには説明が難しいのですが、一言だけいうと、地球の自転による結果です。詳しくは「地衡風」を調べるとよいです。

高気圧・低気圧と風の関係

低気圧は反時計回りに渦を巻いて風が吹き込み、高気圧は時計回りに渦を巻いて風が吹き出している。

windyの画像を使っています。
 ですね。これも地球の自転によるものです。詳しく次回扱います。

高気圧の周りより、低気圧の周りの方が風が強い。

 さきほどの低気圧、高気圧の図で色を見てみると確かに低気圧の周りは赤とかオレンジ、最悪でも緑ですが、高気圧の周りは緑と青です。つまり低気圧の方が風が強いということです。
 これは低気圧が台風とかだと800代の気圧になったりすることさえあるのに、高気圧はせいぜい1050hPa、1040hPaを超えるのすら稀ということにもつながってきます。

 高気圧と低気圧が対称的ではないこの現象は中学生では定性的にでも理解が難しいです。「傾度風」という考えが必要なのですが、それは上で出てきた気圧傾度力、コリオリ力の他に遠心力もでてきて、数々のステップを済む必要があります。
 詳しい説明はたとえばこれとかこれ(終わりの方)があります。ちなみにどことは言わないですけれど、地衡風の図で低気圧の風の向きを逆にかいて説明しているYoutube動画があるので気をつけましょう。

高気圧・低気圧と雲の関係

低気圧の周りには雲が多く、高気圧付近には雲は少ない。

windyの画像を使っています。

 これはどういうことか。
 その前に別の疑問を。「高気圧が空気をまき散らし続け、低気圧が空気をかき集め続けられるのはなぜ?これだけ空気が移動しているのに、どうして気圧差がなくならないの?」

 これは平面的発想をしていたら答えが出ない。3次元的、立体的に考えないといけません。
 そう、上方向に注目するのです。高気圧ではばらまく空気は上空からどんどん供給されています。低気圧で周りからかき集めた空気は、上空へ送られていくのです。

 と、いうことはですよ。高気圧は下降気流、低気圧は上昇気流、ということになります。上昇気流?あれ、雲のでき方のところで登場しましたよね。そう、低気圧は上昇気流を伴うから雲ができるのです。逆に高気圧は下降気流で雲のでき方の逆を行きますから雲はできません、という仮に雲があっても消えてしまうのです。