2022 酸化銀を分解して得られた銀を硫化してみた

 今回、理科教育学会で発表した「鉄と硫黄に代わる2種類の物質を反応させる実験の検討 ―銅と硫黄、銀と硫黄の反応―」(前編)(中編)(後編)は、鉄と硫黄に代わる2種類の物質を探そうとして銅と硫黄、銀と硫黄の反応を調べた…という流れでしたが、あれは実は後付けです。

 本当のきっかけは、「酸化銀の熱分解で得られた銀の使い道はないか」と思ったことでした。熱分解の実験といえば炭酸水素ナトリウムが生徒実験として教科書に載っています。ただ、酸化銀の熱分解のところでも言及したように、黒い酸化銀が白い物質になったということで、別の物質ができたとわかることや、酸素と銀という2つの物質になるので、白い粉から白い粉になり、3つの物質ができ炭酸水素ナトリウムに比べると何が起こったのかが分かりやすいです。そんなこともあり、私は炭酸水素ナトリウムだけでなく、酸化銀の熱分解も生徒実験で行うのですが、できた銀を回収して25gの酸化銀の空き瓶に入れていたら、いつのまにか2~3本たまってきて、これどうしよう、と思ったわけです。 銀なので捨てるのはもったいない。かといって、どこかに売るというのもそんな業者を知らない。うーむ。

 だったら、何か他の実験で使えないだろうか。よく銀のアクセサリーが温泉で黒くなる硫化現象があるのでこれを人工的にやれないか、と思い立ったわけです。

 最初、ろ紙の上で銀と硫黄の粉末を混ぜて、ドライヤーで温めてみたのですが、変化しているかよくわからない。熱が弱いようです。

銀は粉末じゃなくて塊の方が分かりやすくね?ということで塊もやってみました。


 ちょっといい感じな気もしますが、火力を強めるため、坂口こんろを使ってみました。
 そうするとろ紙だと燃えちゃいますので、なんかないかなと思ったら、生物の顕微鏡観察で使っていたホールスライドガラスを思いつきました。もしかしたらこの発想は理科でも普段から化学だけとか第1分野だけしか教えてなかったら、発想として出てこなかったかもしれません。物化生地やっててよかったなと。

加熱時の様子。硫黄が融けて銀塊を覆っていきます。

そしてできたのがこちら。

電気は通しません。

 これ、もしかしたら鉄と硫黄に代わる新しい実験としていけるんじゃね?
 あの実験、硫化水素の事故が毎年のように起こりまくって、さんぽのひろばでは「教諭の指導力不足では?」などとボロクソ言われまくっているのに対し(水素の事故など他の例も含めた学校の理科の化学実験一般の話ですが)、私の知る限り理科教育を引っ張っていく方々からは「まあ、他に代わる実験がないし…」「硫化水素の臭いや危険性は身をもって学んでおくべきだ」「例年、同じような事故が発生しているが周知を徹底していくしかない」という、この実験を続ける以外の選択肢をきかないから。
 中学校で扱うようになったダニエル電池の実験についてはみんなこぞって研究・開発しているから、私はこっちをやってみようか。誰もやってないみたいだし。

 …と思ったり、この実験をしたりしたのは2021年の9月。その後忙しさにかまけて4年もホーチミンしてしまったのですが、理科教育学会の全国大会に課題研究で発表に引っ張り出されたので、どうせならいい機会だし、一般研究で出そうと研究のストーリーをわかりやすく再構築して発表した次第です。おかげで土日2日とも発表になって、富山観光がほとんどできなかったけどな!

 次の記事では、銅と硫黄をやってみました。

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