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0844 色覚多様性への対応

色覚多様性への対応(2010-12-18)

 先日、直流と交流実験の授業をある原稿にまとめて編集会議に出したのですが、そこに載せた生徒の考察に「赤と緑が交互に点滅する」と書いてあった部分について「読者の中には気にする人もいるので…」と指摘を受け、色の記述が書かれていない別の生徒の考察に差し替えた、ということがありました。

 授業そのものでは色について触れていなかったものの、「ありゃ、しまった!」という感じです。授業では色は意図的にスルーしていたものの、色覚が正常な生徒だったら気にせずに「赤と緑が…」と書きそうだわな。

 男性の20人に1人が色弱者がいるといわれているので、クラスに1人は確実にいると考えた方がよいでしょう。とすると、そういう人も困らないように授業をしなくてはなりません。私も授業では、黒板で文字を書くのは白と黄色だけで、赤チョークでは決して文字を書かないようにしています。赤は線を引いたり、「枠」として囲ったり、図などを描くときだけに使っています。また、チョークに限らず色を使う際は、さりげなく色名を告げるのは基本ですね。

 今回の実験で言えば、赤と緑、そして黄色の発光ダイオードは安いんですよね。青とか白とか電圧によって色が変わるのは少し高いのでパス。で、赤・黄・緑の3色の発光ダイオードをたくさん並べて、赤・黄、赤・緑、黄・緑、の3つの組み合わせを自由に選んて実験すると(同じ色でももちろんいいのですが)、きれいだからか、やっぱり多くの生徒が赤・緑の組み合わせを感覚的な理由で選んでしまうのもまた事実で…。

 ただ、実験では2個の発光ダイオードが、直流が片方だけがずっと点灯する、交流は交代で点滅する、というだけで色についてふれる必要がないところにも注目。だから色に関してはスルーして授業を行えば無問題だったのでそうしたら…生徒の記述までは考えが及ばなかった…と反省。

 教科書なんかはこの実験を紹介するとき、ユニバーサルカラーデザインを配慮して、あえて同じ色の発光ダイオードを使うのではないかなと予想。少なくとも、赤と緑の発光ダイオードの組み合わせをやってくる教科書会社があったらかなりのチャレンジャーだと思います、はい。

色のシミュレータ(2012-11-11 )

 また、「理科のツボ」で電力融通を取り上げた時、イラストの日本地図上の50Hzと60Hzを色分けしましたが、最初パステルカラーどうしで色分けしていたので、「もしかしてこれはカラーバリアフリーでないのではないか」という疑問がわきました。

 ちなみにどちらも「直流と交流」がテーマのときというのはちょっとした偶然ですね。

 そういうこともあり、色覚によって「赤と緑の区別がわかりにくい」とか、「パステルカラー同士の組み合わせはダメ」という断片的な知識をもとに、カラーを使うときは注意しようとは思っているのですが、いかんせん、ではこの場合はどのように見えているのか、ということがよくわからないときがあります。

色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法というサイトを利用してこの場合はどうかな…と考えていましたが、さらに便利なものを見つけました。

色のシミュレータ 2.0というアプリです。iOSもAndroidもOK。

どういうソフトか。カメラ機能で見た画像を、1型(P型)、2型(D型)、3型(T型)の2色覚者の色の見えをリアルタイムで映し、一般型(C型)の色の見えと比較することができます。

黒板に書いた5色の色チョーク。なるほど、赤が見えづらいというのはこういうことか。

カラーのマジックもこうなります。

 かなり印象が違いますね。
 ただし、実際にこのように見えるわけではなく、この色とこの色は区別しにくくなるということを示すにすぎません。隣の人と一緒に青色を見ていても、隣の人に見えている「青色」は、自分が「赤」と認識している色かもしれません。そして、それが正しいか否かを確かめるすべはないのです。

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