1370 ハルジオンとヒメジョオン

 春ですね。あたたかくなり、いろいろな植物も見られるようになりました。今回は、これから季節に見られる二つのよく似た植物、ハルジオンとヒメジョオンについてみてみましょう。

 ちなみに以前、朝日中学生ウイークリー(現・朝日中高生新聞)の2014年4月6日号の「科学すぐそこに」という連載でハルジオンとヒメジョオン、どう違う? というテーマを取り上げました。今回のブログはその時の焼き直しです。

 ハルジオンとヒメジョオン、名前からしてよく似ています。そのため「ハルジョオン」「ヒメジオン」と呼ぶ人も多く、事実上の別
名となっていますが、標準和名という正式な生物種の名前としては「ハルジオン」「ヒメジョオン」です 。「ヒメ(姫) 」だから「ジョ(女)」性と覚えておけば、もう間違えませんね。実際に漢字で書くと「春紫菀」 「姫女菀」なのです。

 ところが、ヒメジョオンとは別に「ヒメシオン」という植物もあってややこしいです。また、ハルジオンもヒメジョオンも 「貧乏草」というちょっと失礼な名前で呼ばれることもあります。その理由は、貧乏な荒れ果てた家の庭に生えているとか、摘むと貧乏になると言われているからだとか、いくつかの説があります。
 さて、ハルジオンとヒメジョオンが似ているのは名前だけではありません。その姿もよく似ています。ハルジオンとヒメジョオンの写真を次にあげますが、形がよく似ていますね。

ハルジオン(春紫苑)

関東では4月初め頃に咲き始める。
茎の中は中空。
頭花の舌状花の花弁は細く、糸のよう。



ヒメジョオン

見分け方① 花弁の太さ

 花弁をよく見てみましょう。ハルジオンでは糸のように細い花弁が密集し、ぐしゃぐしゃになっているものもあります。これに対し、ヒメジョオンも花弁は細くはありますが、ハルジオンと異なり、ある程度の幅をもっていて、少なくとも「糸」のようには見えません。また、丈夫そうでぐしゃぐしゃにはなりにくそうです。といっても、ハルジオンとヒメジョオンの両方を並べてよく見比べないと分かりにくいかもしれませんね。
 左:ハルジオン 右:ヒメジョオン

見分け方② 葉の付け根

茎の上部の葉の付け根の部分に注目してみると、ハルジオンは茎を抱くように付きますが、ヒメジョオンは茎を抱きません。

ハルジオン

ヒメジョオン

見分け方③ 根生葉

また花が咲いている時期、地面付近に、まるで根から出ているような葉(根生葉といいます)があるものがハルジオン、枯れていて葉がないものがヒメジョオンです。
ハルジオン

見分け方④ 茎の断面

 茎を切って断面を見ると、ハルジオンはストローのように中空になっているのに対し、ヒメジョオンでは茎の中までつまっていることでも区別することができます。

 これからの季節、 ハルジオンが、それからしばらくしてヒメジョオンがみられるようになります。たとえば関東では、ハルジオンは4月初め頃からヒメジョオンは5月半ばを過ぎてから咲くことが多いです。もしハルジオンかヒメジョオンらしい花を見つけたら「これはどっちの花だろう?」と、ちょっと立ち止まって観察してみましょう。

ちなみに、今回のブログ記事に関連して、標準和名や学名について確認した(原稿にはほとんど出てこないのですが)のですが、その時に、このデータベースが重宝しました。これは使えます!
植物和名ー学名インデックス YList

あとSpecial thanks  <身近な雑草シリーズ2>「ハルジオンとヒメジョオン」(ニチノー緑化)

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