1381 天気図用紙(1) 天気白図帳(森重出版)

理科室の棚から、気象通報を記録する天気図用紙の古~いものが出てきました。
その中でも最も古いと思われるのが、これです。

天気白図帳 (森重出版)です。

 監修した日本地学教育学会は存在しますが、日本理科教材研究会はググってもでてきません。
 そして森重出版についても、出版書誌データベース「出版社をさがす」で検索しても、日本図書コード管理センターの「登録出版者の照会」で検索してもヒットしないので、現存しない出版社といっていいでしょう。
 国立国会図書館サーチや東京都立図書館の蔵書検索でわかったこととして、森重出版は1965年に「国旗総覧」を出版したのが確認されている最古のもので、現在も続いている「気象年鑑」を1967・1968年版を発行していたこと、1974年に「千葉県地学のガイド : 千葉県の地質とそのおいたち」を出版したが、第2版より株式会社コロナ社が発行しており、1975年以降は「森重出版」から出版された本が見当たらないことから、1965~75年頃の営業期間と思われます。なお、1989年に「森重出版企画」から本が出版されていますが、「森重出版」との関連はわかりません。

ところで、森重出版の天気白図帳は3冊あるのですが、残り2冊の表紙がこちらです。違いがわかるでしょうか。

そう、値段が違うのです。60円⇒80円⇒110円。そして送料も60円時代と80円時代では50円でしたが110円時代には90円となっています。
 で、送料が50円から90円になったのは郵便料金の改訂が原因でしょう。そうするといつの改訂かがわかれば、これらの天気白図帳の年代がわかります。郵便料金の変遷をみると、昭和26年(1951)、昭和41年(1966)、昭和47年(1972)、昭和51年(1976)と料金が改訂されています。
 昭和51年(1976)の郵便料金では定形外郵便が50gでさえ100円となり、送料90円では赤字になるところから、この線は消えます。先ほどの森重出版の営業期間が1965~75年頃ということから、昭和41年(1966)か昭和47年(1972)の改訂だと考えられます。そして昭和41年(1966)だとすると、営業開始から1~2年の間で値上げしていることになります。そしてその期間に、本校が2回も購入するか(おそらく何年か分購入するだろう)、という点も合わせれば、この可能性も低くなり、昭和47年(1972)説が有力になってきます。いずれにしろ昭和40年代の代物というのは間違いなさそうです。

表紙の裏は、天気図の書き方や日本の式の天気図の説明が載っています。

かなり詳しいな、と思ったら、こんなのを見つけました。

快晴・晴れ・くもりの雲量が現在の0~1、2~8、9~10と異なっています。天気記号は17種類が紹介されていて、現在の21種類と比べると、「雪強し」「雷強し」「塵煙霧」そして「天気不明」がありません。
等圧線の引き方では、気圧の単位がミリバール(これは1992年11月30日まで使われていて、翌12月1日からはヘクトパスカルが使われます)という点ではなく、等圧線が2mbごとで10mbで太線になる(現行では細線が4hPa、太線が20hPa)という点が現在と違います。

そしていよいよ天気白図です。

緑色なんですね。
そして観測点がいろいろ現在と違います。ナハ(那覇)、イズハラ(厳原)がカタカナ扱いで、逆にモッポが「木浦」と漢字表記。
「室戸岬」ではなく「室戸」となっています。さらに現在の松山の代わりに「広島」がありますが、昭和60年代ではまだ広島でした。
「鳥島」「硫黄島」など、現在はありませんね。「南鳥島」はこの後一時消えて現在復活しています。

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