1399 3.11以降の原子力教育サイトの動向

 2011年3月11日の東日本大震災。福島第一原子力発電所がどうなったかは、ここで改めて説明する必要はないでしょう。
 それ以前は原子力発電の危険性を根拠に反対する意見も一定数はあったものの、日本の電力の4割まで原子力で賄っており、原子力イケイケどんどんでした。おそらく相当なお金が動いていたでしょう。具体例をここで示すことは控えますが、「原子力の闇」的なうわさ話もいくつも聞いたことがありました。
 で、理科教育へも原子力をまず知ってもらうということで、少なくとも私の感覚では、こんなにいいの?と逆に不安になるくらいのお金をかけていただきました。一介の教師に交通費や宿泊費、さらには食費まで出してもらって原子力施設などを会場にした無料の宿泊研修(宿泊はもちろんホテルですよ)をしてくれるなんて、あまりに太っ腹じゃないですか。いろいろな意味で今じゃできませんよ。

 だったのですが、そこにまさかの3.11

 その後は当たり前といえば当たり前ですが、原子力教育が思いっきり逆風を受けていました。
 震災があったのが3月11日だったので、粘度の変わる2011年4月から閉鎖、というのはさすがに難しかったみたいですが、やはりこれだけ原子力に対する風当たりが強くなってきて(予算が削られて)きた今、2012年の3月末で閉鎖されるサイトが多いようです。

原子力教育のサイトの状況
あとみん(文部科学省・(財)日本原子力文化振興財団)→閉鎖
原子力教育情報ポータル((社)日本原子力産業協会)→健在!!閉鎖
なるほど!原子力AtoZ(資源エネルギー庁)→現在改定中閉鎖
らでぃ(放射線教育推進委員会)→お休み(事務局の変更に伴い、体制の見直しを検討中)5/25再開(追記参照) 健在!!(2024/4現在)

また、ネット上ではなくリアルですが、
(財)日本生産性本部が平成24年3月末日をもってエネルギー環境教育情報センター事業を中止。天然ガス教材及び天然ガスセミナー事業は日本教育新聞社に移管。そういえば「らでぃ」の放射線教育推進委員会は日本教育新聞社内に事務局があったはず。

東京電力関係ではサイエンスグランプリが開催見合わせたのをはじめ、出前授業や東京電力自然学校の募集など、環境・エネルギー教育支援を中止。ま、たしかに、そんなことよりやることあるだろうといわれそうだし…。

ほとんど壊滅状態ですね。実は理科教育への影響も小さくなかったりします。。。

 ところがどっこい、平成24年(2012年)度からは平成20年告示の学習指導要領の本格実施。実はこの指導要領か中学校理科で放射線が登場するのです。放射線をどう教えるかという教師側のニーズもあり、財源的には相当シビアになったものの、原子力教育は放射線教育へシフトして細々と続いていたのです。

その後の定点観測記録

2012/5/5
原子力百科事典ATOMICA(一般財団法人 高度情報科学技術研究機構(RIST))は2012/5/5現在、生きています。ただし子ども向けの教育を意識したものではなく、一般向けの資料という感じです。

2012/8/22
らでぃ(放射線教育推進委員会)は、平成24年度は、公益財団法人日本科学技術振興財団と連携していくということで2012/5/25に再開しています。

2020/6
 「原子力教育情報ポータル」もリンク切れ、日本原子力産業協会のサイトを見ましたが見つかりませんでした。ただし、放射線の基礎知識データ集など、資料は豊富です。
 一方「らでぃ」は健在で今月(2020年6月)も更新があります。原子力百科事典ATOMICAも一応生きてはいますが、 平成31(2019)年3月14日より運営が原子力機構に代わったものの、最終更新日は2017年3月22日ということで、更新する気はなさそうなホーチミンとなっております。

2024/4
 「らでぃ」は相変わらず健在ですが、意外だったのは原子力百科事典ATOMICA。よくてホーチミン、悪くて閉鎖かと思いきや、2020年10月から、平均して数カ月に1回のペースで更新しています。最終更新は2023年10月25日だし、4/18(木)にメンテがあるという予告があるので、また更新するのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました