1132【運動の規則性5】 力と運動(2) 物体に力が働く運動(斜面を下る運動①)
今度は物体に力が働く運動について見てみましょう。
物体に力が働く運動の例としては、斜面を下る物体を取り上げてみます。
斜面を下る運動では物体に力が働き続けている
ストロボ写真を撮ると、こんな感じです。
これがどうして物体に力が働く運動なのでしょうか。
斜面においてある物体は、重力がかかっています。これとは別に物体は斜面からの垂直抗力を受けています。物体にはこの2つの力がかかっているのですが、その合力は、ちょうど重力の斜面方向の分力になるのです。
このことは、力の分解のところでやりましたね。
じっさい、斜面にある物体にばねばかりをひっかけて、物体を動かないようにすると、ばねばかりは一定の力をさします。
斜面にある物体は斜面に水平な方向(もちろん下向きに近い方向)に力がはたらいているのです。
実験してみよう
ということで、前回同様に、斜面の運動を記録タイマーでやってみましょう。
実験そのものは斜面にすること以外は前回と同じです。
斜面の角度については、ほおっておくと生徒は30度とか45度とかそれ以上とかかなり急な角度でやりたがります。しかし、そうすると台車が速くなりすぎて5打点ごとに切ったテープの本数が確保できなくないし、斜面を降りた後の台車が何かにぶつかると危ないのでやめた方がよいです。
なので、いきなり結果のテープを並べたところから始めます。
表にするとこんな感じです。
「速さの変化」という行は、例えば②の速さから①の速さを引いた値、つまり①から②になる間にどれだけ速くなったかの値です。なので①と②の間に数値を書きたいので、表で表すときは縦線の位置がずれるのです。
そして、テープをもとに、速さと時間の関係のグラフを作ると、一定の傾きをもった直線になりました。
この「一定の傾き」というのは数学でいう一次関数 y=ax+b の aであり、先ほどの表で出てきた「速さの変化」です。これは30-24=6、30-24=6、34-30=4のように、速さがおとなり(0.1秒前)と比べ、どれだけ増えたかを示したものです。どれだけ速度が加わったかということで、これを加速度といいます。
斜面を下る運動は、この加速度が一定、つまり等しいので等加速度、さらに向きは変わらない「直線」ですから、等加速度直線運動といいます。(「加速度」「等加速度直線運動」は高校で学習する用語です)
ここでは、実験の都合上、テープの最初を捨てており、動き始めてからしばらくしてからの部分を読んでいるので、最初の動き始め(速さ0)をスタートとすれば、速さは動き始めてからの時間に比例します。
それはさておき、斜面にある物体には一定の力が加わっています。これは斜面を下る運動をしていても斜面にある間は、物体には一定の力が加わり続けています。そのため、加速し続ける、すなわち速さが変化し続けるのです。
前回の力が加わらない物体は、等速、すなわち速さが変化しませんでした。
1年生の時にやった「物体に力が働くと 物体の運動の様子(=向き・速さ)が変わる」という話を思い出してみてください。
※ 加速度の計算については、厳密には、例えば①と②のテープの間だったら、速さの差30-24=6(cm/s)が0.1s間で起こっているので、
6cm/s ÷ 0.1s = 60cm/s2
とするのが正しいのですが、ここでは0.1秒間と時間をそろえて、加速度が等しいところだけ確認できれば良いので(もちろん高校ならちゃんとやる必要があります) 30-24=6 としました。そのため単位もうやむやにしてあります。
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