1144【力学的エネルギー2】仕事とエネルギー(2) 摩擦力に逆らってする仕事

前回は、仕事の定義と、重力に逆らってする仕事をみていきました。
でも、重力に逆らってする仕事は、いくら横に動かしても、仕事として評価してもらえませんでした。

「物体を横に動かすのも大変なんだから、仕事をしたことにしてください!」
という熱い声にお応えして、今日は別の仕事をご紹介します。

摩擦力に逆らってする仕事

今度は物体に力を加えて一定の速さで横に動かすことを考えます。
このとき、物体にはたらく力は4つあります。ここでは糸で物体を引っ張っている設定で図を描きました。

ここで、加える力と摩擦力がつり合っていると、慣性の法則により等速直線運動となります。
そして、この「加える力」こそが「摩擦力に逆らっている」わけです。

では、例題いってみましょう。

質量10kgの物体を摩擦力のある水平な床の上で3m動かしたとき、摩擦力に逆らってした仕事はいくらか。ただし、摩擦力の大きさを20Nとする。

距離は3mでいいとして、力はどうする?質量10kgってことは100Nだけど、「摩擦力の大きさを20Nとする」とあるし…。

はい、「質量10kg」はブラフです。はったりです。張りぼてです。案山子です。鳩よけの水の入ったペットボトルです。
重力は抗力とチャラになるし、そもそも「摩擦に逆らう力」と垂直方向の話なので、「摩擦力に逆らってした仕事」とは関係ないのです。

ついでに難しめの話。糸が水平ではなく、斜めだったらどうなるか。

ここでまた力の分解の登場です。
糸を引く力を垂直方向と水平方向に分解します。
このときの水平方向の分力が摩擦力とつり合えばいいのです。
ということは、糸を引く力は摩擦力よりも大きくなってしまいます。
ちなみに垂直方向の分力は、上向きですので、同じ上向きの抗力の肩代わりをします。
抗力の大きさは重力から垂直方向の分力の大きさを引いた残りの分だけになるので、やっぱり上下方向の力もつり合う(ように抗力で調整している)のです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました