粒子を柱とする領域
新たに加わった、イオン化傾向、ダニエル電池などは、以下のページをどうぞ。
【化学変化と電池01】 金属イオン(1) 銀樹の実験
【化学変化と電池02】 金属イオン(2) 探究
【化学変化と電池03】金属イオン(3) 探究の過程を振り返る
【化学変化と電池04】金属イオン(4終) 化学変化の電子の授受
【化学変化と電池08】化学変化と電池(4) ダニエル電池をつくろう
【化学変化と電池09】化学変化と電池(5) ダニエル電池の仕組み
ダニエル電池の検証
電気化学は間違いだらけ?!
そして中学化学の指導上のポイントはこんなところかなと思います。
中学校と高校の定義の違いに注意
◦例1:「酸化・還元」はあくまでも酸素原子の授受だけをさす。
水素や電子の授受は関係ないし、「酸化数」という考え方もない
◦例2:「酸」は水に溶けると水素イオンを生じる化合物(アレニウスの定義)
粒子概念の段階的な形成
◦粒子(原子、イオン)のモデルの活用
◦「もの」はなくならない→保存概念へ
中学と高校で定義が違う点については中高一貫の理科(化学)の先生とかどう使い分けているのか、中学プロパーの身としてはちょっと気になります。
また、粒子概念を段階的に形成していくというのは、前回やった「エネルギー」の概念にもつながります。
「原子」と「元素」は、何が違うの?
塩化ナトリウムはNaClと2がつかないのに塩化銅はCuCl2と2がつくのが納得いかない!
中学校の粒子を柱とする領域(化学)は、指導していてもなかなか微妙なものを感じるときがあります。
特に2年生の「化学変化と原子・分子」は、炭酸水素ナトリウムや酸化銀は加熱すると分解した。ところが水を分解しようとしても加熱したところで沸騰するだけで分解はされない。という流れで、「じゃあ電気で分解しよう」という発想は通常に生きていた中学2年生なら思いつかないでしょう。酸化銅から銅を取り出したいけれど、酸化銅を加熱したところで銅は取り出せない。「だから酸化銅に炭素を混ぜて加熱しよう」とは、予習して答えを知っている生徒でなければ出てこないセリフでしょう。つまり、生徒が今までの経験をフル活用してまじめに思考したところでどうせ出てこないだろうから、上から「電気で分解しよう」「炭素を加えよう」と答えを用意して、これを使えと言ってくる。その最たるものが原子・分子の考え方であれよあれよと原子の説明があり、元素記号や周期表が出てきて、分子が登場し、物質を化学式で表しだす。個人的には正直「え?ちょっと待って?」と混乱する生徒よりも、淡々と受け入れてしまえる生徒の方が、将来悪い人に騙されるんじゃないかと心配になります。
これがエネルギーを柱とする領域(物理)なら実験結果が動かぬ証拠となり、そこから完全にロジカルに展開しているのでそれについていければ納得がいきそうなのですが、粒子を柱とする領域(化学)では、「原子や分子などの粒子を使うと実験結果の説明がつくよ」という、状況証拠で犯人を決めつけて冤罪のリスクが残るような危うさを感じるのです。(その延長上に電気化学のアレがあるのかもしれません)
ただ、これはカリキュラムが悪い、と言っているわけでは決してなく、エネルギー領域もそうですが「見えないもの」に対するアプローチの難しさを表しているんじゃないかと思います。で、エネルギーや電流、力などは、法則性、共通性があるので、そこさえおさえればいい感じに概念形成ができるのですが、種類ごとに性質が異なる個性豊かな原子や分子の場合、法則性があったとしても中学2年生の段階では説明の前提となる未学習の概念が多すぎるため、結局「(意味が分からなくても)覚えろ」ということになってしまいます。
私も大学は学部・院とも化学だったのでなんとかできないかと思いはするのですが、あまりにも壮大な敵で決め手に欠けるところです。。。
中学化学の限界についてはこんな話題もあります。
0499 【化学変化09】化学変化における酸化と還元4 酸化銅の炭素による還元⇒最後の緑字の部分
0516 鉄の酸化はややこしい!
0537 アンモニアがH3Nじゃないのはなぜ?
事故防止,薬品などの管理及び廃棄物の処理
事故防止,薬品などの管理及び廃棄物の処理
また、理科の授業における安全管理上の留意点を事例をもとに検討しました。
事故の防止については
生きている理科室 : リスク管理・危機管理編も参考にしてください。
ただ、古い(2005)ものなので、保護眼鏡の着用についての記述は今日に比べると甘いです。当時は酸やアルカリの水溶液を使う実験などのときなど、いかにもリスクの高そうな実験の時にだけ使う雰囲気でしたが、現在は薬品や加熱などの作業、岩石などの破砕の作業などがあればもれなく保護眼鏡着用です。
太陽の直視(ルーペ、顕微鏡、望遠鏡ごしを含む)の危険性について
ルーペの使い方
硫化鉄の実験に関して
実験 鉄と硫黄を結び付ける
硫化鉄は案外危険かも
薬品などの管理については、
薬品の管理(1)~盗難防止の観点で~、
薬品の管理(2)~火災防止の観点で~
の2つの資料を読んでおいてください。本文はMOODLEにあります。
GHSについてはこちら
理科教育法Ⅰでは「最低これだけは知っておきたい」という安全知識を詰め込みました。
SDSの実物を見たり、ヒヤリハット、危険図、KYTの演習などは来年度、理科教育法Ⅲでやりたいと思います。
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