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0268 出題及び採点に誤りがあった阪大の問題を解いてみる(前編)

平成30年度のセンター試験まで1週間ちょっとという1月6日、大阪大学は平成29年度の入試で物理の問題で出題及び採点に誤りがあったことを公表しました。

誤りがあったのは物理の 〔3〕A 問4、問5とのこと。どんな問題だったか。流れをつかむために大問 〔3〕Aを通しで、理科とか苦手でって人を対象に解説していきます。

〔3〕以下のA、Bのすべての問題に解答すること。なおAとBは独立した内容の問題である。

A、音叉(おんさ)を音源として用いる実験で,空気中の音速を求めてみよう。 使用する音叉は,振動数500 Hz の音を,必要なだけ長い時間にわたって発し 続けるとする。

A-Ⅰ. 気体中の音波は縦波であり,圧力の高い状態(密)と低い状態(疎)を繰り 返すことから疎密波ともよばれる。音叉は,2本の平行な腕を持つU字型の金属製道具であり,楽器の調律などに使用される。腕の部分をたたくと,ある特定の振動数の音だけを発する。図1 は,振動している音叉を上から見た 状況を示している。矢印は,ある瞬間に音叉の腕が動いている向きを表している。音叉が音を発するときは,このように2本の腕は互いに逆向きに振動 し,周囲の空気に圧力変動を与えている。


図1

問1 図Iの2つの矢印が示す向きに音叉の腕が運動し,開ききったときの 周囲の圧力について考えよう。音叉を囲む円周上にある4つの点A~D での空気の疎密に関して,以下の (a) ~ (f) のうちから正しい組み 合せの記号を選べ。円の中心は音叉の中心O にあり,その半径は音波 の波長にくらべて十分小さく,4 つの点は音叉の振動方向とこれに垂直な方向にある。
(a) A:密, B:密, C:疎, D:疎
(b) A:密, B:疎, C:疎, D:密
(c) A:密, B:疎, C:密, D:疎
(d) A:疎, B:疎, C:密, D:密
(e) A:疎, B:密, C:密, D:疎
(f) A:疎, B:密, C:疎, D:密

平成29年度 大阪大学一般入試(前期日程) 物理

まず1行目読んで思ったこと。AとBは独立した内容の問題なら、 〔3〕と 〔4〕にすればいいのに。
その理由は過去問全体を見てわかりました。 〔1〕 〔2〕 〔3〕それぞれの大問ごとに解答用紙が1枚ずつあるからなのね。なるほど。

さて、問1を考えてみよう。
 図1の上側の音叉の腕が上に移動するため、下の図の青のあたりにあった空気はB側へ押し寄せられる。同様に、図1の下側の音叉の腕が下に移動するため、下の図の赤のあたりにあった空気はD側へ押し寄せられる。したがってBとDはもともとあった空気の他、よそから空気が押し寄せられて空気が濃くなるので、「密」になる。
 一方、2つの音叉の腕に挟まれた緑の部分にあった空気は、音叉が上下に広がる、体積が増加するため、空気は薄くなる。AとCもその延長線上なので、AとCは「疎」となる。したがって選択肢でいえば(f)と。

それにしても対称性から、AとC、BとDはそれぞれ疎密は同じになるはずなのに、そうなってない選択肢(a)(b)(d)(e)ってなんなの?

A-Ⅱ.1 つ目の実験として,図2 のように,両端を開放した細長い円管の内部に ピストンを装着して水平に置く。ピストンは,取り付けられた棒を引くこと によって左の開口端(x=0)からなめらかに円管内を移動できる。


図2

問2 音叉を左の開口端の近くに設置した。音叉を鳴らしながら,ピストン を右に移動していくと,ほぼ等間隔で,音叉に気柱が共鳴して大きな音が聞こえる位置があった。ある実験では,その位置はx = 50 cmであ り続いてx = 84 cm でも共鳴した。この結果をもとに音速を有効数字 2桁で求めよ。なお,開口端補正は常に一定とする。

問3 ピストンがx = 84cm の位置にあるとき,共鳴に影響しないごく小さな圧力計を円管内に入れ,音叉によって共鳴させながら圧力変動の大きさ を測定したところ,大きさは圧力計の位置によって変化し,数か所で最大の圧力変動が観測された。開口端からピストンまでの範囲(0≦x≦84 cm)で,そのような最大の圧力変動が測定される位置x 〔crn〕のう ち,開口端に最も近い位置奪の値を有効数字2桁で示せ。

問2 波の速さについては、ひとつ、公式がありまして…
 v=fλ
 vは波の速さ…1秒あたりの長さ(m/s)
 f は振動数…1秒間あたりの波の数(波/秒)
 λは波長…1波あたりの長さ(m/波)
たしかにfλは1波あたりの長さに1秒間あたりの波の数をかけたものですから1秒かの長さ、つまりvになります。

f は問題の最初、Aのところに「使用する音叉は,振動数500 Hz の音」とあるのでf=500できまり。
あとは波長λを求めればいいわけです。

今回のような閉管の開口端側は、空気分子が激しく振動できるので、定常波の腹に、閉端側は、空気分子が振動できないので、定常波の節になります。すると、x=50cm,84cmでできる共鳴(定常波)の様子はこんな形になります。

50cmの次に84cmで共鳴したということは、その差34cmが波長の半分(λ/2)となります。
波ひとつが84cmの気柱で書かれた赤の部分になりますから、34cmは波長λではなく、波長の半分(λ/2)となのはよいですね。
すると、λ/2=0.34mですから  波長λ=0.68m となります。

 振動数f=500Hz なので 音速v=fλ=500×0.68=3.4×102(m/s)
音の秒速が340m。一般的な値です。

問3 圧力変動が最大なのは定常波の節のところで、それは共鳴する位置でもある。問2ではx = 50 cmであ り続いてx = 84 cm でも共鳴したが、84-50=34cmごとにその位置はある。50cmの手前は50-34=16、つまり16cm 1.6×101(cm)

なんて、丁寧に解説を作っていたら、問3までで結構な分量になってしまったよ!
ということで問題の問4、問5は明日に続きます。

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