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0432 津波実験装置

教育用の津波演示装置は、私の知る限り津波発生装置 HOLITON津波はかせの2つしかありません。

津波発生装置 HOLITON は、プレートが動くことによって津波が発生する仕組みを説明するのには、便利な教具なのですが、それ以上のこと-すなわち、例えば海底の地形の形などの条件を変えるとどうなるかだとか-ができないという欠点があります。

実は、津波発生装置と買う際に、 HOLITON と比較検討した機種として 応用地震計測株式会社の「津波はかせ」というものがあります。こちらだとPVA入りの水を着色しているなどの工夫もあり、さらに地形模型を作ることができたり、これはこれでおもしろいのですが、津波を起こすしくみが、シリンダーを押すというやりかたになっているため、歪んだ大陸プレートが元に戻ろうとすることで津波が発生する、というところを見せられないのが中学校向け(初学者向け)の授業の教材としては厳しいなと感じて見送りました。(個人的にはものすごく使ってみたいのですが)

「津波が発生する仕組みを示す」にはHOLITON、「条件を変えると津波がどうなるか」という実験をするには津波はかせ、という棲み分けがなされているのですが、HOLITONは定価\188,000、津波はかせはカタログには値段が書いてありませんでしたが、受注生産ということで、もっと高そうです。さすがに両方買うわけにはいきません…。かさばるので保管場所も考えないといけなくなるし。

ということで、授業で条件を変えた津波の実験をやりたいのですが、結局オリジナルの道具でやることにしました。

よくパン屋さんがパンを入れる「ばんじゅう」に

ちょうどフィットするサイズのアクリル板を斜めにさします。

そこにごみ袋を切ったものをかぶせて

ばんじゅうのかたちにそってかぶせて、そこに水を入れます。

アクリル板の側にはガムテープをはり、

反対側からごみ袋を少し持ち上げて、ばんじゅうの底に写真のようにガムテープをはります。
これはあとで地震発生のモデルとしてごみ袋を持ち上げるときの効果を一定にするためのものです。

クリップでごみ袋を留めておきます。

ところで、てのひらがアクリル板の角に当たると意外に痛い。ここまでの作業中にも何度か痛い思いをしました。

そこでとりあえず軍手でカバー。で、軍手が落ちないようにスズランテープでとめる。超その場しのぎです。

これで完成。

で、こいつをどう使うか。

まず水を入れておいて、水面の高さだけ、マジックで線を引いておきます。

次に、「津波発生」ということで、アクリルの反対側にあるクリップを外し、両手でごみ袋の両端を持ち、1回だけピッと上に持ち上げます。

すると、水がアクリルの斜面を上がっていきますので、最も高く到達した高さをマジックで引いておきます。

次に、アクリル板のガムテープを半分ほどはがし、ごみ袋のはしをもって、アクリル板に接しているごみ袋が三角形になるようにします。(土地が狭くなった状態を示す)

この状態で先ほどと同じように、アクリルの反対側にあるクリップを外し、両手でごみ袋の両端を持ち、1回だけピッと上に持ち上げます。

最も高く到達した高さをマジックで引いておきます。

先ほどに比べて狭くなった分、高いところまで水が押し寄せてきました。
このようにリアス式海岸など入り組んだところでは高いところまで津波が押し寄せてくるのです。

中学校理科における跳ね上げ式津波教材の開発(東レ理科教育賞)
中学校理科における跳ね上げ式津波教材の開発(秋田県総合教育センター 教科・研究班)
明石和大 教育用組み立て式津波モデル実験装置の製作 秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 70 pp.55 〜 60 2015

柄谷友香 持続可能な津波防災教育に向けた知識の体系化に関する研究  地学教育 69 巻 (2016) 1 号 p. 5-13
片田敏孝 津波防災において住民が理解すべき現象の検討

















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