0086 人間は有機物?無機物?

 「身の回りの物質」の授業で有機物・無機物のところを学習するとき、よく生徒から出てくる質問として人間は有機物?無機物?というのがある。

 あなたならこの質問にどう答える?ちょっと考えてみてよ。

 有機物・無機物の定義については専門レベルでは難しいので置いといて、中学校レベルでいうと
有機物…炭素を含む物質。燃えると二酸化炭素ができる。
無機物…有機物以外の物質。

 ということだよね。

 ちょうどこのあたり、教育実習生が担当することが多くて、生徒に聞かれると、(ちょっと怖い話ですが)燃えると炭化するので有機物です、と答える人が多い。
 だがちょっと待って欲しい。この単元の最初で何をやったっけ。

 そう、物質と物体の区別だったね。
 それを踏まえて質問。人は「物質」ですか?違うな、「物体」だ。

 でも「有機物」「無機物」は、「物質」の分類でなわけで、このときにどちらに分類されるか考える対象、つまり分類表の三つの要素で出てきた「被区分体」は「物質」でないといけないよね。「物体」ではだめだよね。
 生物の特徴と分類の仕方の学習でも観点と基準、つまり区分原理と区分肢は注目するけれども、それに比べて被区分体については手薄というか、ぶっちゃけ一顧だにされてない。それがこういう、そもそも前提条件が満たされていない質問につながっていくんだな。

 具体的に言うと「ヒトは被子植物か裸子植物か?」と聞かれても答えに窮するだろ。そもそもどっちでもないんだから。それと同じわけよ。

 つまり、「人間は有機物?無機物?」という問いを立てる時点で、物質と物体の知識を活用して有機物・無機物の分類をすることができていないわけだ。

 だから質問をするとしたら、「人は有機物と無機物のどちらでできているのですか。」という感じならOKだね。
 人間の体は60~70%が水でできている。これは無機物。次に多いのがタンパク質、それから脂肪と続く。これらは有機物だね。つまり私たち人間の体は無機物と有機物が混ざってできているのだよ。

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