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0011 君たちはどう分けるか(3) 分類表の三つの要素

区分を分類表で表す

 「世の中には2種類の人間がいる。それは○○な奴と××な奴だ」
映画や小説、エッセーなどでたまによく見かけるフレーズですね。

 ついでに「○○という言葉を『広辞苑』で引くと…」というのもエッセーや社説なんかでもよくみかけますね。なぜいつも『広辞苑』なのでしょう。たまには三国とか新明解で引けばいいのに。
 それはともかく、「世の中には…」というのがまさに区分です。
 たとえば、
世の中には2種類の種子植物がある、被子植物と裸子植物だ。
 これを図で書くと次のようになりますが、これが分類表です。
 

分類表の3つの要素

 で、分類表には被区分体・区分原理・区分肢という3つの要素があります。

被区分体

 被区分体は,分類される対象をさします。ここでは、ツツジ、マツ、タンポポ、ホウセンカ、イチョウなどの種子植物の面々です。
 被区分体以外のものは、分類できません。当たり前といえば当たり前なのですが、そこを甘く見ていると、「人間は有機物?無機物?」という問いで「どっちだろう、有機物?」とうろたえることになります。この区分では被区分体、つまり分類の対象物は「物質」であること。「人間」は鉄とか水とかタンパク質などの「物質」ではないからそもそもこの分類の対象外なわけですね。

区分原理

 区分原理は、どのような観点で区分するかという点です。種子植物の例では、子房の有無が区分原理になります。ただ区分原理は、単なる観点ということもあり、区分原理の内容が直接出てくることはなく、次に説明する区分肢に、美味しいところを持っていかれてしまいます。

区分肢

 区分肢とは、具体的な分類項目をさします。種子植物の例では、「子房のない(裸子植物)」「子房のある(被子植物)」です。

漏れなく、ダブりなく

 区分肢の設定にはルールがあります。どんな被区分体でも(もちろん被区分体でなければ論外です)、区分肢のどれか一つだけに必ず入ることどれにも入らないこと(漏れ)はダメだし、二つ以上の区分肢に当てはまる(ダブり)も許されません。ロジカルシンキングの世界でいうMECE(ミーシー)ってやつです。
 たとえば、「丸いもの」「四角いもの」「赤いもの」「青いもの」という4つの区分肢を設定したとします。このとき、赤い三角形だったら「赤いもの」だけが該当するからいいのですが、青い丸は「丸いもの」と「青いもの」の2つ該当してしまいます。一方、黄色い星型は「丸いもの」「四角いもの」「赤いもの」「青いもの」どれにも属さない、「漏れ」になります。これではいけませんね。

交差区分という失敗あるある

 何がまずかったかわかりますか。4つの区分肢のうち2つが「丸いもの」「四角いもの」という形を区分原理にしたもの、もう一つは「赤いもの」「青いもの」と色を区分原理にしたものがごっちゃになっているからです。このような区分を「交差区分」といって、ぶっちゃけ失敗です。

 なので、「丸いもの」「四角いもの」「三角形のもの」「その他」のように全部形でそろえるか、「赤いもの」「青いもの」「黄色いもの」「その他」のように全部色でそろえるか、一つの段階における区分原理は1つにそろえてないといけません。これを「一貫性の原則」といいます。(ちなみに「その他」って「漏れ」がなくなる強力な区分肢です)

そういうときは二段階で分類する

 「いやだ!俺は色でも形でも分けたいんだ!」という人は、まず「丸いもの」「四角いもの」「三角形のもの」「その他」と形を区分原理にして分けて、それぞれの区分肢に含まれるものを、第2段階の被区分体として今度は色を区分原理にして「赤」「青」「黄」「他」を区分肢にして分類すればいいだけの話です。もちろん、先に色で分類してから形で分類してもOKです。いずれにしろ、一つの段階における区分原理は「色」か「形」のどちらか1つにそろえてるのが寺田の鉄則です。

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