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0779 石油ベンジン・石油エーテル

 今回紹介する試薬は石油ベンジンと石油エーテルです。どちらも有機溶媒で危険物4類ですが、何がどう違うのか、見ていきましょう。

石油ベンジン

 石油ベンジン(Petroleum Benzine)は、石油を蒸留して、留分50~80℃で得られる特異臭のする無色透明の液体で、単にベンジンとも呼ばれます。日本工業規格JIS のK 8594:2015に詳しい説明が載っています。

 主成分はn-ヘキサンです。だいたい60-70%含まれ、残りはヘプタンとかペンタンとか、モグタンとか芳香族炭化水素などが含まれる混合物です。
 なぜか昭和化学のSDSには「構成成分の1つとして、ノルマルヘキサンを約8%含有する。」という記述があり、おいそれホントに石油ベンジンなのかという素朴な疑問がわいています。

CAS No.8030-30-6
「石油ベンジン」で検索すると一番上にヒットする省庁による某安全サイトには、石油ベンジンのCAS番号について、National Chemical Inventories では、Benzineに対してCAS8032-32-4が与えられており と石油エーテルのCAS No.を紹介しています。National Chemical Inventoriesがやらかしたのか、棒安全サイトがやらかしたのかは不明です。

溶剤・しみ抜き・化粧品の原料などに用います。

石油エーテル

 石油エーテル(Petroleum ether)は、石油を蒸留して、留分30~60℃で得られる特異臭のする無色透明の液体で、エーテルは含まれていません。日本工業規格JIS のK 8593:2015に詳しい説明が載っています。

石油エーテルの主成分はペンタン,イソペンタン,ヘキサンなど炭素数3〜8(C3〜C8)の脂肪族炭化水素の混合物です。

CASNo.:8032-32-4

 抽出溶剤、燃料などに使われます。

危険有害性(両方に共通)

 石油ベンジンと石油エーテルは、沸点に微妙な違いはあれど、どちらも石油を蒸留して得られる特異臭のする無色透明の液体、ということで、危険有害性もほぼ共通しています。
 まず危険性としては消防法で危険物第4類 第一石油類 非水溶性液体 に指定されていているとおり、極めて引火性の高い液体及び蒸気で、火花や静電気も気を付けないといけないレベルです。
 有害性ですが、神経系の特定標的臓器毒性(反復ばく露)と誤えん有害性で区分1、わかりやすくいうと、長期又は反復ばく露による神経系の障害、飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれがあるということですね。
 安衛法では表示対象物・通知対象物ですし、PRTRでは第一種指定化学物質(1-436 (392))です。

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