0959 カルミン、サフラニン
細胞の核を染色する色素をみていきましょう。
カルミン
Carmine カーミンとも。 CAS No.1390-65-4
Cochineal (dye) コチニール色素とも呼ばれます。コチニールというと、エンジムシ(中南米原産の昆虫)から抽出される赤色着色料ということを家庭科の授業で教わった人もいらっしゃるのではないかと思います。
これだけ赤かったら、安全なら色素として使いたくなるのもわかりますよね。
とはいえ、コチニールを摂取してアナフィラキシーショックが起きることもあるようです。ただし、コチニールそのものが悪いのではなく、エンジムシなどからコチニールを精製しきれずに不純物として残ったたんぱく質が悪さをするんだそうです。
穐山 浩・杉本直樹:コチニール色素・カルミン摂取による食物アレルギー,ファルマシア Vol.50 No.6 pp.522-527, 2014
アセトカルミン(酢酸カーミン)
酢酸の水溶液に塩基性色素のカルミンを加えたもの。
そして、アセトカルミン。酢酸カーミンといった方がピンと来る人が多そうですね。そうです、中学校理科では細胞の観察をするときに核を染めるときに用いるあのお酢臭くて赤い液体です。
酢酸が細胞を固定し、負に荷電した核や染色体に、正に荷電したカーミンが吸着、赤く染まります。
酢酸オルセイン
酢酸カーミンと同様な染色液として赤紫色の酢酸オルセインがあります。
酢酸カーミンの赤に比べると、酢酸オルセインは赤紫っぽいです。また、酢酸カーミンのほうが生細胞の核が染色されやすいといわれますが、私の経験では、この写真のようにむしろ酢酸オルセインの方が核がはっきり染まってわかりやすいという印象です。
さらに酢酸ダーリアという青紫っぽい染色液もあるらしいのですが、一時期販売中止になったこともあり、酢酸カーミン、酢酸オルセインに比べるとマイナーな存在になっています。理科室にもないし、私も使ったことがありませんが、現在はちゃんと販売されています。
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サフラニン
サフラニン Safranin C20H19ClN4 Mw=350.85 CAS No.477-73-6
黒っぽい(褐色や黒緑色もあるらしい)粉末
別名がいくつかあります。「ベーシックレッド2」「コットンレッド」「ゴシピミン」はいいのですが、「サフラニンO」とか「サフラニンT」とか「サフラニンY」とかいう別名もあります。別物質化と思えば、CAS No.が同じで同一物質らしいのですが、だったらなんでバラバラにアルファベットつけたりするかな。このあたりの理由を御存じの方、コメントで教えていただけると嬉しいです。
これも細胞の核を赤く染める染色剤としての他、酸化還元指示薬にも使われます。
サフラニン塩酸液
酢酸カーミンなどでタマネギの根の細胞分裂を観察するときなどは、まず温めた塩酸の中で細胞をバラバラにさせるステップがありますが、サフラニン塩酸液なら塩酸がすでに入っているので染色しながら塩酸処理ができるという優れものです。
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