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0275 ガソリン

 蒸留のところで学習したように、原油を加熱炉で熱し、蒸留装置で精製すると、沸点の違いからさまざまな石油製品が得られます。

 このうち沸点が40℃~220℃くらい(資料によって微妙に幅がある)のものがガソリンです。

 ガソリンというとなんといってもガソリンスタンドのように、自動車の燃料ですよね。実際にガソリンの用途の99%以上が自動車に使われています。
 それ以外には飛行機にも使われていますし、染み抜きでおなじみのベンジンも工業用ガソリンです。
 ガソリンは基本的には無色です。オレンジ色のイメージが強いかもしれませんが、それは自動車又はこれに類似の内燃機関に使用する自動車ガソリンについて規定したJIS規格 K2202-2012によって、オレンジ系に着色しているだけなのです。航空ガソリンの場合は、これまたJIS規格 K 2206-1991で、赤とか緑とか紫に着色するようになっています。決してオレンジ色ではないのです。


 そしてガソリンの危険性は半端ないです。アセトンなどとともに危険物第4類(引火性液体)第1石油類に指定されています。

 特にガソリンの引火点(Flash Point)はー40℃と大変低い温度です。これはどういうことかというと、バナナで釘が打てる温度でもガソリンが揮発して空気が混じり、そこに火を近づけるとぼわっと燃えてしまうのです。ちなみに灯油だと引火点は40℃以上となります。
 ただし引火点ぎりぎりの場合、引火してもガソリン蒸気の供給が続かず、結局すぐ消えてしまいます。引火点より高い燃焼点(Fire Point)を超えると、持続可能な燃焼になります。
 そうすると気になるのがガソリンの燃焼点なのですが、引火点はあちこちに載っているのですが燃焼点については具体的な温度が見つかりません。「燃焼点は引火点よりも数度高くなります」とか「一般に燃焼点は引火点よりも20~60℃位高い値を示す様です。」とか、微妙にその後に「知らんけど」とか続きそうな雰囲気の記述がいくつか見つかるだけです。

 ということは、常温の場合、ガソリンのある所は火気厳禁になっているのは安全上もっともなことですよね。そして静電気による火花でも引火します。だからセルフのガソリンスタンドでは「静電気除去シート」なんてものを見かけることがあるわけですし、ポリタンクでは静電気が生じるので、灯油を入れるのには使われても、ガソリンを入れることは法律で禁じられているのです。ガソリンは携行缶に入れましょう。
 

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 なお、空気中(もしくは酸素中)で加熱して、火の気がないのに突然燃え出す(自然発火する)最低温度が発火点(Ignition Temperature)です。ガソリンの発火点は300℃と、むしろ灯油の方が250℃と低かったりします。

 ガソリンは、半年くらいで劣化するといわれています。これはオレフィンが酸化してしまうことによるもの。防災用など長期保存をするにはガソリンの缶詰が便利です。ただし、それでも永久に持つわけではなく、3年間の品質保証ということですので、ローリングストックとかして、3年以内に使い切るといいでしょう。期限切れの缶を廃液の処理業者に持ってってもらったら1本で4,000円も取られました。買った時の値段より高い…。

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