転がっているボーリングの球は、ピンに衝突して飛ばす、つまりピンに力を加えてある距離だけ動かすことができます。
このとき、転がっているボーリングの球はピンに実際に仕事をしたわけです。
そして、ピンにぶつかる前の転がっているボーリングの球は、まだ仕事はしていませんが、仕事をする「能力」は持っていたわけです。
床に軽く刺さっている釘のはるか上に、金づちがあるとします。この金づちを振り下ろすと、釘にあたり、釘は力を受けてある距離だけ床にさらにのめりこみます。
ということは、金づちは、釘に仕事をしたことになります。そして、振り下ろす前の金づちは、まだ仕事をしてないけど、仕事をする「能力」は持っていたわけです。
この、仕事をする「能力」がエネルギーです。
ちょっとわかりにくかな?では「たとえ」で説明します。
お金を払うと、物が買えます。
これは、こんな風に言い換えることはできませんか。
お金には、物を買う能力があります。
日常、お金についてそういう言い方はしませんが、言いたいことはわかるし、間違ってもいませんよね。
教科書的には、上の説明でいう、転がっているボーリングの球や釘のはるか上にある金づちは「エネルギーを持っている」と言うみたいな説明があります。これをお金の例で置き換えると、「太郎さんが買うことができる」ということは「太郎さんはお金を持っている」といえる、ということです。
ボーリングの球は仕事をすることができる ⇒ ボーリングの球はエネルギーを持っている
太郎さんが買うことができる ⇒ 太郎さんはお金を持っている
主人公 ボーリングの球 太郎さん
何ができる 仕事をする 買う
その能力 エネルギー お金
教科書では、仕事は力×距離だ、とストレートに定義しているのに対し、エネルギーについては、「エネルギーとは…」と真正面から定義せず、ある状態を例示して「このようなとき、物体はエネルギーをもっている」という微妙な表現になっています。これはおそらく、「エネルギーとは…」と中学生にもわかるように、かつ専門家から正確さの面で突っ込まれないようにする表現は、2023年12月現在発見されていない、ということを意味するのでしょう。
だとすると、「仕事をする能力がエネルギーである」という説明も、おそらくは専門家から不適切だと突っ込まれる余地のある説明なのかもしれません。どこが不適切なのかはわかりませんが
お金には「円」という単位があるように、エネルギーにも単位があります。何でしょうか。
これまたお金の例で考えてみましょう。
お金の単位は「円」です。1000円札や100円玉といいますしね。
そしてそのお金で買える品物には値段がついていて、その単位もまた「円」ですよね。ノート1冊120円みたいに。
で、120円のお金があれば120円のノートが買えます。
同じように、エネルギーがあると仕事をすることができるのですから、たとえば100Jの仕事をするには100Jのエネルギーがあればいいってことになりますよね。
エネルギーの単位は、仕事と同じジュール(J)なのです。
そして、エネルギーにはいくつかの形態があります。そのうち今日は2つ取り上げます。
一つは、転がっているボーリングの球のような動いている物体が持っているエネルギーで「運動エネルギー」。
もう一つは釘の上にある金づちのように、高いところにある物体が持っているエネルギーで「位置エネルギー」です。
では、次回はこれらについてみていきましょう。
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