1150【力学的エネルギー4】仕事とエネルギー(4) 仕事率

前回の仕事の原理では、道具を使ったところで、仕事を得することができないことがわかりました。
にもかかわらず、どうして私たちは道具を使うのでしょうか。
仕事は得しないけど、小さい力で済ませることができたり、力の向きを変えたりできるからですね。
そうすることによって、現実的にできないことができるようになったり、できることでもより簡単にできるようになるからですね。

同じ仕事が楽にできるということは、短時間で仕事ができる、といういいかたもありそうです。
で、この「時間」という要素は、結構重要です。

速さ=距離÷時間  という公式はおなじみですね。
速さは、一定の時間に進んだ距離を表します。一定の距離を短い時間で進むことができれば、それは「速い」ということです。

んじゃ、ここで「距離」を「仕事」に置き換えて
仕事÷時間 というのはどんなものかイメージしてみましょう。
一定の時間にした仕事の量ということになりそうですが、一定の仕事量を短い時間で進むことができれば、それは「仕事が速い」とか「効率的だ」といいますよね。

この仕事の速さとか効率を仕事率といいます。

仕事率 = 仕事 ÷ 時間 

ここで特筆すべきはその単位。仕事はJ(ジュール)、時間はs(秒)です。そして仕事率の単位はW(ワット)です。

ワット。そう、電力の単位ですね。そして電力とよくごっちゃにされがちな「電力量」の単位がジュールでした。
そういえば、電流による発熱の実験で、電力(W)に時間(s)をかけて熱量(J)を求めていたこともあります。

単位ジュール(J)で表わされるのは、熱量(熱エネルギー)、電力量(電気エネルギー)、などのエネルギーの量で
単位ワット(W)で表わされるのは、仕事率という割合なのですね。だから電力(英:electric power)とは電気エネルギーの仕事率(英: power)というイメージを持てばよさそうです。

仕事と仕事率のイメージを持ったところで、ちょっくら数字を使って例題をやってみましょう。

例題1 質量60kgの人が10mの高さの階段を上るのに30秒かかった。このときのこ仕事率はいくらか。

質量60kgの物体にかかる重力の大きさが約600Nだから、
 仕事 = 600N × 10m =6000J
 仕事率 = 6000J ÷ 30s =200W

例題2 ある冷凍食品を電子レンジで温めて食べようと思います。パッケージには「500Wの電子レンジで4分」と書かれていました。ところが、今使える電子レンジは600W専用です。この電子レンジで何分温めればよいでしょうか。(レンジの加熱ムラとかは考えないものとします)

 温める熱量 = 500W × 240s =120000J
 加熱時間 = 120000J ÷ 600W =200s (3分20秒)

ところで1馬力、2馬力という「馬力」は、仕事率の単位です。

文字通り馬を基準にしたもので、日本では普通は馬力というと英馬力(HP;1HP=746W)をさしますが、計量法第6条によると内燃機関に関する取引又は証明などでは仏馬力(PS;1PS=735.5W)を使うことも許されています。

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