パラジクロロベンゼン。C6H4Cl2 Mw=147 CAS No.106-46-7
融点53℃、沸点174℃。常温で昇華する白色の固体。樟脳のようなにおい。
実は強い酸化剤でもあります。
かつては中学校理科でもナフタレンとともに融点を調べる実験に使われていましたが、有害性が指摘され、実験どころか学校から排除されてしまいました。
たしかにSDSをみると、有害性について、皮膚感作性、単回ばく露 (中枢神経系、血液系、肝臓)、反復ばく露 (神経系、肝臓、血液系)で区分1とにぎやかで、「発がんのおそれの疑い」もあります。
意味は分かるし確かにそうなんだけど、「おそれの疑い」という表現がすげー気になる…
そんなパラジクロロベンゼンですが、カップめんから検出されたと騒ぎになったものの、どうやらそれはカップめんに含まれていたものではなく、単に移り香だったというオチは、メーカーから見るともらい事故に近いものを感じます。
それはともかく、パラジクロロベンゼンは防虫剤として使われています。男子トイレのトイレボールにも使われていますね。肩身は狭そうですが。
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パソコンのデータを整理していたら、1996年に書いた文章が出てきました。せっかくなので貼っておきます。
ちなみにこの話はフィクションです。。
中学校1年生では、純粋なパラジクロロベンゼンを加熱して、時間による温度の変わり方をグラフにかく実験がある。今日の授業はその実験の結果をまとめる回である。
このグラフは、時間が経つに連れて、温度が上がっていくが、54度あたりで温度がしばらく一定になる。融点である。ここで温度が一定になった後、再び温度が上がりはじめる。前時の実験の段階で、グラフまでかけているのを確認したので、話がしやすい。そのグラフのかたちをもとに、こんな話をした。
「いいか、このグラフは人生を表している。人間は努力に努力を重ねても、時に結果が出ない場合がある。そこであきらめてはいけない。努力を重ねているうちに、ある日突然、グラフが上がることもある。それを君達はこの前の実験で体験したんだ。パラジクロロベンゼンに人生を教わったわけだね。すばらしい!」
そこまで説明したところ、一人の生徒が手を上げた。まじめだが、どうもそれが結果に結びつかないタイプの生徒である。
「先生、うちの班、時間がなくてグラフがたいらになったところで終わってしまったんですが。」
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