1358 桑田義備「細胞核の分裂」

準備室の本棚にあった古~い本です。

桑田義備著 細胞核の分裂
著者の 桑田義備(くわだ よしなり)先生は、植物細胞学者で京都大学名誉教授でした。
1882(明治15)生-1981(昭和56)没ということで、まだ著作権は有効ですね。

残念ながら表紙が切れてなくなっていました。画像は中扉です。

奥付を見てみました。昭和十八年(1943)、終戦直前です。

ここで、定価弐円参拾銭ですが、特別行為税相当額が九銭で、売価が弐円参拾九銭となっています。
この、特別行為税とはなんでしょうか。
国税庁メールマガジン12号 (2006年6月1日)に解説がありました。

Q 戦局が悪化し始めた昭和18年に特別行為税が導入されました。これは消費の節約、購買力の吸収等を目的とし、「特別行為」にかかる費用額の2-3割を徴税しました。では、 どのような行為が課税対象とされたのでしょうか。

A 特別行為税の課税対象は、1「写真撮影」(現像、焼付け、複写も含む。)、2「調髪及整容」(パーマや髪のカツト等)、3 「織物及び被服の染色及び刺繍」、4 「被服類の仕立て」、5 「書画の表装」、6「印刷、製本」(ただし、公共団体や神社、学校のためのものなどは除く。) でした。この税の創設は、他の個別消費税との均衡を図ること、特にしゃし的消費に対し て高率の課税を行うことも目的としていました。結局、この税は戦後(昭和21年)、税制の簡素化などを図る過程で廃止となりました。
 なお、昭和18年には同様の目的から多くの間接税の増税が行われましたが、取り分け物品税の課税対象のうちしゃし的性質が強いもの(貴石、毛皮など)の税率が大幅に引き上げられています。

 つまり「ぜいたくは敵だ」の時代に、しゃし(奢侈=ぜいたく)なことをするペナルティのようなものですね。
 でも、定価2円30銭に対しての9銭ですから、税率4%。今の消費税より良心的です。

 続いては、そらまめの染色体。筆者にとっても大切な1枚のようです。

漢字の旧字も多く、小さな「っ」のところも大きな「つ」になっていたりする一方で、アルファベット(大文字、小文字)、%の記号、さらにはモルガンやメンデルなど外国人の人名もありました。この本が出た昭和十八年といえば、英米語禁止で野球用語も全面日本語化させられていたようなのですが、学問の世界はそれでは立ち行かないのでセーフ、ということでしょうか。

国立国会図書館のデジタルコレクションで読める、読めるぞ!byムスカ って前もやったな。

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