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1417 アクティブ・ラーニング狂走曲 第5楽章 学びを遊びに

旧ブログで 2017/07/16更新

しばらく中断していたアクティブ・ラーニング狂走曲。

第1楽章ではアクティブ・ラーニングを、教育界を席巻するビッグウエーブとしてとらえました。
第2楽章ではなんだかんだ言っても目的ではなく手段だよねと確認しました。
第3楽章第4楽章ではアクティブラーニングのお手本的な授業や研究発表のもととなった授業に違和感を感じつつも、長いこと理科教育を悩ませているある課題を解決できる授業を提案できなければそれを覆せないと悟ります。

そしてこの第5楽章では、第4楽章の最後に出てきた課題

理科を不得手とする生徒を、思考して、活動に参加させる(本当の意味でアクティブにラーニングさせる)にはどのようにすればよいのだろうか。

この課題を解決するためのヒントを探っていこうと思います。


いや別に、アクティブ・ラーニングを意識したつもりは全くなかったんですよ。3月の期末テストも終わって成績も出て、ある意味消化試合…というと怒られるかもしれないけど、何か勉強勉強したものではなく、ゆる~く生徒が興味関心を高めるようなことをしたいなと思ったのですよ。

それで1年生なんで単元としては「大地の変化」。

従来このあたりの学習は教科書や一般的な資料集を使うことが多いのですが、そうすると,「砂岩」「泥岩」とか言葉は知っているのに、自分の足下についての地面については何も知らずに終わってしまいます。これで地学を学んだといえるのか…ということで、この活動を計画してみたら、結果的にアクティブ・ラーニングになってしまいましたというお話です。

まず東京全体の地質図を示し、次に東京都建築局の「東京の地盤(GIS版)」のサイトをプロジェクタに示す。そうして学校近くの柱状図を表示させる。柱状図には「シルト」という教科書にはない言葉があったので補足します。

ところがこの柱状図にはもっと面白いのがあって「N値」も表示されているのです。もちろん説明しました。

そのうえで、「地質図を見て自宅近辺がどうなっているかを調べよう」という課題を設定しました。
自宅付近の地質図を探し、それを写してあとは適当に考察すればよい、そういうつもりでしたが…。

はまった。

自宅近くの柱状図を調べると、地盤が弱いだのどうだと出てきます。本校の場合、生徒の自宅は都内(一部千葉県や埼玉県もありますが)にばらけていますので、生徒ごとに調べる場所は違います。つまり、自分が見ている柱状図が、すなわち自宅付近の地盤がヤバいと気づいているのは自分だけなのです。

そうして、近くにある他の柱状図を調べ始めたり、「これ見てよ!」とつい誰かに言いたくなります。そして、いろいろな場所で比較したり「こっちの地域はどうだろう」と地層のつながりを推測したりする活動が始まります。

「ここまで関東ローム層が…」「ここは埋め立て地だから…」などと他のサイトからも情報を集め、なんか大事になってきました。

一緒に盛り上がっていた私は、授業後に「あ、もしかしたらこれがアクティブ・ラーニングなんじゃね?」とふと気づきました。
教師である私のやったことはサイトなどの資料の紹介と課題の提示とN値を含めた柱状図の読み方を説明したこと、あとテキトーに煽ったくらいです。

でも自宅近くの柱状図を調べると、地盤が弱いだのどうだので、はまって他の場所を調べたくなったり(自主性)、つい誰かに言いたく(協働性)なって、アクティブ・ラーニングが起きたようなのです。


では、地質図の実践はなぜALになったのか。

生徒たちが「つい」「はまった」のはなぜか。
この「つい」「はまる」を意図的に仕掛けることこそが、ラーニングをアクティブにする教師の役割だと思うのですが、これを一般化するとなると、なかなか難しいな…と思っている次第です。

で、このころたまたまアクティブラーニングとは全く無関係に読んだ
出口汪;出口汪の「最強!」の記憶術;水王舎、2015

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に、こんなことが書いてありました。

(pp.75-83のポイント) 勉強は本来遊びだった。 暇な時間を哲学や文学、芸術で過ごした。 勉強は一生飽きが来ないほど、本来は楽しくて仕方ない遊びだった。 ところが、勉強が仕事になり成績が上がったかだけが重要視される。 テクニックに走ったり詰め込み式の勉強をしても本当の学力はつかない。 学問を仕事ではなく、本来の遊びとしてとらえ直すべきだ。

なるほど。するってぇと、

生徒たちにとって、地質図を見るのは「仕事」ではなく「遊び」だった。 「学習」を「仕事」ではなく「遊び」ととらえ直すことがアクティブ・ラーニングなんじゃね?

そんな手掛かりを得た気がします。
代わりに「最強!の記憶術」はどんなもんだったか記憶できませんでしたがorz

余談ですが、「私は子どものころ勉強ができなかった。だから勉強のできない子どもの気持ちがわかる。(したがってできない子どもを教えるのが得意だ)」という先生がたまにいます。でも、「ほんとかなぁ。」と私は思ってしまいます。子どものころから勉強ができた先生でも教え方の上手下手はそんなに変わらないような気がするのですが…


さて、この、第5楽章にもわたる「アクティブ・ラーニング狂走曲」ですが、私的なブログでの発言とはいえ、私もそれなりに立場というものがございまして、関係各位への後始末が面倒だったり、ブーメランが怖かったり、失いたくないものが多かったり、忖度しなければならないような大人の事情があったりするため、ぼやかしてストレートに触れられなかった部分も多々ございます。そのあたりは平にご容赦いただくとして、ひとまず、「アクティブ・ラーニング狂走曲」はこれにて終了とさせていただきます。

※個人の感想です。

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